13 悠太視点
悠太視点
「ねぇ祐希」
「なに?悠太」
半ば強制的に祐希を連れて飲み物を買いに来た。
要がやられたし、休憩ができるように。って言う建前で
「祐希は何飲みたい?」
「んー、悠太と同じのでいいや」
「わかった」
とりあえず、奏歩のオレンジジュースとあとは適当に俺たちのを選ぶ
そして、五本を俺と祐希で分けて持って、歩き出す
言いたいことがあるのに、何だか喉に突っかかって言えない。
…なんでだろう、と自分でも思う
「祐希、」
「なに?」
遠くから聞こえてきた、出発の音を合図に口を開く
「祐希は奏歩のことどう思ってるの?」
「――!、げほっ」
飲み物が変なところに入ったらしく、祐希がむせて、咳き込む
暫くその背中を擦ってやると、落ち着いたようで、祐希が俺を見上げた
「…俺は、奏歩のこと、好きだよ」
ざわり、と心がざわついた。なんだろうか、本当に
「なんか見てて癒されるし、可愛い。…抱き心地もいいしいい匂いだし」
なんか、こう、自然な感じにいい匂いなんだよね。香水とかじゃなくて、一人で奏歩の解説を始める祐希に、ほんの少しだけ、ほっとした。
「…そう。」
「うん。…あー、もしかして悠太ヤキモチ?」
「違うよ」
手のかかる弟に、可愛い妹みたいな子。
―今は、それでいいんだ
***
「春、要。はい、買ってきたよ」
「あ、悠太君、祐希君!」
戻ってくると焦ったような春がいた。
俺たちを見て、更にその焦りっぷりはひどくなる
「どうしたの、春」
「あの、途中で奏歩ちゃんに会いませんでしたか?」
「会ってないけど…」
祐希に目伏せすれば、祐希も会っていないと、頷く
それに春はまるでこの世の終わりみたいな顔になる
「奏歩ちゃん、二人を探しに行ったまま、まだ戻ってきてないんです!」
戻ってきてない…?奏歩が?
「俺、探しに行ってくる」
考えるよりも先に体が動いた。
奏歩を早く見つけなくちゃ、と
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