11 迷子
と、勢いよく二人を探しに来たのはいいけれど、流石広い遊園地。
…迷子になりました
一旦春ちゃんと要の所に行って出直そうと思ったのだけど、戻り方がわからない。もはやどこにいたのかもわからない。ここがどこかもわからない
…風船求めてうさぎさんを追いかけたのがいけなかったのか!うさぎさんめ、可愛い顔してなんてことを!
風船と言う甘い誘惑で子供を誘い、迷子センターを混乱に陥れるつもりなのか…!許すまじ
…って、そんなことよりも本当にどうしよう
私は残念なことに極度の方向音痴とか、ドジッ子みたいな萌え要素は全く持ち合わせていない設定だ
そ・れ・な・の・に?
なんだこの展開!!迷子にならないと思っていた、いやそんなことを欠片も考えなかった私への罰ですか!?
あー、やだ。本当にこんな展開望んでないよ。
…って言うことで、手っ取り早く一人で楽しそうに歩いてるお兄さんに突撃したいと思います。
「おにーさん、こんにちは」
とりあえず、目の前に行き、ぺこりと頭を下げる。
「?こんにちは、君、誰?」
「友人と五人でここに遊びに来ていたのですが、途中そのうち二人が飲み物を買いに行きそのまま戻って来ないため探しに出たところあまりの遊園地の広さに記憶が飛んだ所存であります」
「んー、と。つまりは迷子ってことかな?」
「つまりはそういうことです」
「そーなんだ。俺と一緒だね」
黒髪天使フェイスなお兄さんは、にぱっと笑った
…可愛い、春ちゃんとはまた違う可愛さですね
「おにーさんも迷子なんですか?」
「俺は違うよ、こーちゃんが勝手に置いていかれただけだから!」
「じゃあ、こーちゃんさんが迷子と?」
「そういうこと」
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