10 待てない人(2)
「遅い…」
無意識に口からぽろりと言葉が溢れた。
遅い、おかしい。その二つの言葉がぐるぐると私の頭をひたすらに巡る巡る
「も、もう少ししたら戻ってきますよ」
ベンチの周りを歩き回っている私を、困ったような笑顔でなだめる春ちゃん。
あぁ、春ちゃんにそんな顔をさせたいわけじゃないのに、春ちゃんには笑顔が一番似合うのに…!
でも、それとこれとは話が別だ。
「でももう30分だよ?」
そう、30分たっている、30分!
悠太と祐希が飲み物を買いに行ってもう30分たっているのだ。
普通なら、もう戻ってきてもいい時間だと私は思うわけですよ
…いや、待てよ。
買いに行ったのはイケメン双子だ。
女の子を連れていないと思えば、そこらへんの綺麗なお姉さま方がこぞって双子を逆ナンをするかもしれない。てかする
そして私はひらめいた
二人は帰ってこないのでは無く、帰ってこれないのだと。
思い立ったらすぐ行動!善は急げ、っと言うことで
「春ちゃん!」
「はい?なんですか」
「祐希と悠太探しに行ってくるね」
言うが早いか、動くが早いかで、私はその場から駆け出した
「え、あ、奏歩ちゃん!!」
後ろから春ちゃんの呼び止める声が聞こえたから、とりあえず手を振っておいた。
待っててね、私のオレンジジュース!…と悠太と祐希!
見つけた暁にはアイスも買ってもらうんだから!覚悟しておけよ
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