08 ジェットコースター(2)
「どう乗りましょうか?」
そう、順番が回ってきて一番に困ったことがこれだ。そう決め忘れていた、座る順番
皆に問うと、一番に「はーい」と祐希が手を挙げた。…そんなに悠太と一緒に乗りたいのか…!祐希は可愛い弟だね、顔がにやにやしちゃうよ
「俺、奏歩の隣がいい。奏歩の隣じゃなきゃやだ」
…え、私とですか?まさかの展開に、ぼけっとしていると、いつの間にやら祐希が私の手首をがっしり、と掴んで「はい、俺たち決定ー」と手を挙げた
そんな私たちを見て、悠太はため息を吐く。なんだかとても申し訳無い気分に…。
「…じゃあ祐希は奏歩の隣ね。春、乗ろうか」
「あ、はい!よろしくお願いしますね、悠太君」
「はい、要ひとり〜」
「うっせぇよ!」
と、まぁぼっちの要は置いといて、皆それぞれペアの人と乗り込む
バーを下げれば、緊張は一気に高まる。
心臓ばくばく、胸はどきどき!一緒だけど違うこの感じ!たまらないっ
「奏歩」
「ん?なに」
呼ばれて隣の祐希に目を向ければ、なんだか真面目な顔をしていて
どうしたんだろう、と思ってそのまま祐希を見つめる。じー、と穴が空くくらいを目指して
「あの、―」
そして祐希が何かを話そうとしたとき、ガタンッとジェットコースターが動き始めた
「うわっ」
そしたら後は絶叫の嵐。
結局祐希が何を話そうとしていたのかは、わからなかった
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