03 運は大切
まぁ、簡単に言うと人生なんてそんなものだよね。
特賞か一等を狙って福引きをした私と悠太だったけれど、10回近くやって当たったのは二等だった。
つまりは遊園地のチケットが当たりました。
二等だよ、二等。すごいんだけど、それ以上に悠太がものすごい落ち込んでる
なんか旅行に行きたかったらしく、ものすごい落ち込んでる。いや本当に。オーラが沈んでる
「悠太?遊園地のチケット当たってよかったよね!」
「…そうですね」
「ゆ、悠太さん」
「なんでしょう奏歩さん」
「遊園地行くの楽しみだね」
ね、と同意を求めるように微笑んでみる。頑張れ私の表情筋、微笑み崩すなよ
「…そうだね」
さっきよりもちょっと緩んだ悠太の表情に、ほっと息を吐いた。
***
「ただいまー」
「…おかえり」
お買い物を終えて帰宅した、私と悠太を出迎えたのは、大層機嫌が悪そうな祐希でした
「なんで俺だけ置いてくの」
「祐希が自分で行かない、って言ったんでしょ。漫画読んでて」
そうか、祐希は悠太大好きっ子だもんね。悠太を私に取られたくとかしたくないもんね
可愛いなぁ、私が悠太を祐希から取れるわけ無いじゃん。第一、私は二人の兄弟愛見てるの好きだしね
こう、癒し、だよね
「悠太ばっかり、奏歩と一緒なんてずるい」
「いつも祐希のが奏歩に引っ付いてべたべたしてるでしょ。」
「でも、二人きりで買い物はずるい。俺も行きたかった」
俺が気付いたらいなかった二人。聞けば二人で買い物に行ったらしかった
…ずるい。俺だって行きたかった。
最近わかったんだけど、奏歩は新しいものが好き
新しいものを見せると、すごく笑う。その笑顔が異常に可愛い
だから奏歩にとっての初めての買い物に行くなんて、その顔を絶好のチャンスだ
絶対に悠太は見てきたよね…。やっぱずるい
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