02 福引き(2)



悠太に名前を呼ばれて意識を現実に引き戻される。もう順番が来ていたみたいだ。


考え事してると時間が過ぎるのが早いね、うん


賞品を見てみると、一等温泉旅行、二等遊園地、三等ゲーム機で、そのあとはまぁそれなりのもので…


「うわー、特賞海外旅行なんだね。お金ある」

「そうみたいだね」

「特賞か一等とって、一緒に旅行行きます?」

「奏歩がいいなら、いいよ」

「悠太と行くなら楽しそうだから、私は全然いいよ。むしろ行きたいな」


あはは、と笑って悠太を見ると…、あれ?なんか、怖い…


なんかぶつぶつ呟いてるんだけど、…さっきの会話嫌だった!?私と旅行とか行きたくなかった!?




「特賞当たれ、特賞当たれ、特賞当たれ、特賞当たれ、特賞当たれ…奏歩と旅行、奏歩と旅行…」


母さんに言われて来た奏歩との買い物


いつもは祐希もいて三人。しかも祐希は奏歩にべったり引っ付いている


だからなかなか奏歩と二人になる機会なんかなかなか無い


そして二人になる機会を手に入れたと思ったら奏歩の「一緒に旅行行きたい」の一言


…これは、特賞か一等を当てるしかないですよね




悠太に嫌な思いをさせたかなって心配になって、繋いでいる手から少し握る力を抜くと、逆に強く握られる


よくわからない悠太の行動。…どうしたの悠太くん!?私のどう対処したらいい!?


残念ながら私にはお年頃の男の子の気持ちはわかりませんよ


そうっと悠太を見上げてみれば、やけに真剣な表情をしている


「悠太…?」

「特賞か一等必ず当てよう」

「え、うん…?」



そうして、悠太が福引券を福引き場のお姉さんに渡し、私と悠太と一斉一代の福引きが始まった


「いくよ、悠太」

「うん」

「「せーのっ!」」


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