黒ニャンコ




「あれ?ニャンコちゃんは?」


若干イラついたようにしながらご飯を食べに降りてきたお兄ちゃんの側にはいつもいるはずのニャンコちゃんがいなかった


「…よそで食べてるのかもな。腹が減ればすぐ出てくるよ」


そのままご飯を食べ出したお兄ちゃん。なるほど、ニャンコちゃんと喧嘩したんだね…

でもご飯を食べ終わる頃にはニャンコちゃんへの怒りは消えたみたいで、逆に心配そうにそわそわしていた。


「菜和、」

「なーに?お兄ちゃん」

「その、ニャンコ先生帰ってきたら連れてきてくれるか…?」

「お安いご用」


にこ、と笑ってそう言えばお兄ちゃんはちょっとだけ安心したように笑顔を浮かべて部屋に戻っていった

…で、その数分後。
お兄ちゃんの部屋からすごく大きな笑い声が聞こえてきた

塔子さんは「あらまぁ元気ね」って笑ってるけれど、いくらなんでも笑いすぎだよ、と思う

だって…「ぶひゃひゃひゃ」ってなかなか無いよね…?

気になって、ちらちら天井を見ていたら塔子さんが「見てきちゃいなさい、大丈夫よ」って悪戯気に言った。

よし、行ってみよう

決断したら行動は早く!とんとん、と階段を上ってお兄ちゃんの部屋にまっしぐら

一応ノックするとすぐに返事が返ってきた

そして中に入ってびっくり。


「ニャンコちゃん、真っ黒になってる…!」

「はははっ、どこでこんなに汚れてきたんだろうなっ?」

「不思議だねー、でも黒いニャンコちゃんも可愛い」


抱き上げてぎゅーっと抱き締める。ちょっと服が汚れちゃったけど気にしない

だって可愛いんだもの


「あぁ、こら菜和。汚れるから先生離せ」

「えー、じゃあ私ニャンコちゃん洗ってくる!」


私これからお風呂だからついでにニャンコちゃん綺麗になるから一石二鳥でしょ?


「そんなの駄目に決まって―!」

「じゃあニャンコちゃん、お風呂行こっか?」


ニャンコちゃんを抱えたままお兄ちゃんの制止をスルーして部屋を出る。後ろからため息が聞こえたけどそれは知らないフリ

ニャンコちゃんとお風呂、楽しみ

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