五日印の呪い




「―た、ただいま」

「おかえりー、お兄ちゃん」


その日のお兄ちゃんからは、いやな感じがした。

腕にぐるぐる巻きにされた包帯に、小さくなっているニャンコちゃん


「…ねぇ、ギンどう思う?」

『多分呪いだろうな。…質の悪いのに目をつけられたものだなお前の兄は。』

「…どうすればいいの?」

『どんな呪いかわからない限りはちょっと、な…』

「そっか…。…あれ?」

『どうした?』

「外…」


不意に見た窓の外。そこには何か陣のようなものを書いているお兄ちゃんがいた。


『…あれは、妖を呼び出すつもりだな』

「…え?」

『まぁ、見てろ』


白い布を羽織ったお兄ちゃんは、手を合わせながら何かを呟いた。それに合わせて友人帳も名前を探すように捲られていく

その次の瞬間、光ともに大きな妖が現れた


『ふむ…三篠か』

「みすず、ね…」


三篠、という名の妖は少しお兄ちゃんと話をするとどこかに消えていった

そして、それからすぐに辺りに"しゃん、しゃん"という音が鳴り響き…

着物を纏った髪の長い妖が現れた

その姿を視界に入れた時だった


「―っ」


がんがん、と頭の中で何かが鳴り響き出した。

強く、強く、大きく、大きく…


『菜和!』


意識が白く、白く染まっていく、誰かの声が木霊する



「ふふ、菜和は本当に面白いわね」

「危なっかしい奴だよ、本当に…」

「えへへ〜」



優しく、あたたかい場所。

それは遠い昔の話。

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