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―こうしてニセニャンコ事件は幕を閉じた。


「―まったく散々な目にあったな。もとはといえばお前がしっかりしとらんからだぞ」

「そうだな。今回は本当に助かったよ。ありがとうニャンコ先生」


せっかく素直にお礼を言ったのに、気持ちが悪いと震え出すニャンコ先生に、ちゃっかりと煎餅を食べながらそれに同意する紅峰さん。てか何でいるんだ


「―行っちゃったな黒ニャンコ。黒ニャンコってかわいいなぁ…」

「何だそれは」


―そうして相変わらずの日々。最近困るのは小さな別れを少しさみいと思うことだ。

(だめだな、おれはすぐに情を移したりして)

小さい頃は滅多に菜和以外の誰かのために心を揺らすことなどなかったのに


『それじゃ帰るとしますか』

「紅峰さん」


煎餅を食べ終えた紅峰さんはそう言うとおもむろに立ち上がった


『やっぱり人は好きにはなれんな』


紅峰さんはニャンコ先生の方に振り返ると微笑みを浮かべながら「共に帰ろう」と誘う。だけどニャンコ先生はそれを断った

妖達にとってのあっという間のそのときまでおれの傍らにいると言って。

去っていった紅峰さん。

おれはぼんやりと空を眺めながらリオウに言われた言葉を思い出す


「なぁ、ニャンコ先生…」

「なんだ」

「…いや、なんでもない」


外で楽しそうに塔子さんと洗濯物を干す菜和を見て、ほんの少し笑みを溢す


「なら言うな」

「あぁ、ごめん…」


リオウが消える直前におれに言ったあの言葉の意味を、おれが知るのはもう少し先のこと


『彼女を支え守れるのは夏目、お前だけだ。彼女に何があろうとお前は彼女の受け入れ大切にしてあげてくれ――…』


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