7
『出来た!!』
「へっ!?」
メリーさんの声に目を覚ますと、そこには完成した琴があった
『良かった、まだ間に合うぞ』
『アカガネ?どうしたのです。一体何の…』
ガザガザガザと周りの木が、葉が揺れる
『アサギ行っておいで壬生様の所へ。今ならまだ磯月の森への道が開いている。』
アサギが驚いているのがわかる。
――ねぇ、アサギ。君はこんなにもアカガネに想われているんだよ
『――…行っておいで、アサギ。そして壬生様にもう一度――…』
ガザッ、再び葉が揺れたときだった
『…たぞ、見つけたぞ!約束だ約束だ腸をもらいに来たぞ人の子』
「!?」
「お兄ちゃんっ!!」
草むらから飛び出してきた妖はお兄ちゃんに飛びかかっていく、助けなくちゃ――っ!
―ザッ
「アカガネ…」
アカガネがお兄ちゃんを庇う。その反動で琴が落ちる。
もう反射だった、自分でも気付かないうちに落ちていく琴に手を伸ばす
―アサギの琴が、メリーさんの大切な――…!
「菜和!?菜和ー!」
[ 7/8 ][←] [→]
[list][bkm]