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ニャンコちゃんがうまくフォローを入れてくれたらしく、心配そうに私を見ていた視線が外された。
「…そういえばお前…、えっと名前何だ?」
『ふん、人間ごときに名乗る名はない』
「…じゃあ、お前は今から"メリーさん2号"だ」
「め、メリーさん…」
メリーさん2号、呼ばれた妖はちょっと動揺しているように見える
あまりにも似合わなさすぎる名前に肩を震わせてしまう。アサギも私の中で楽しそうに笑っているような気がした
…あれ?景色が遠く―、
『まぁ、ハイカラな名ですね。よかったですね、メリーさん』
『!なんでアサギまで…』
『ふふ、いいでしょう?楽しいじゃないですか』
「…菜和?」
お兄ちゃんの声がふるり、と鼓膜を揺らした。その微かな振動ではっとする
「…、っはい?」
「今のアサギ、だったよな…」
「あ、うん」
―一瞬体を乗っ取られた、みたいだった。
瞬間脳内に直接響き渡ってくる声。
『ついうっかり…申し訳ありません…』
「あ、大丈夫だよ。」
ちょっと意識飛んだくらいであとは何もないから。そう軽く笑うとアサギはもう一度だけ謝って静かになった
「…わかった」
「…へっ?」
「わかった、何だか知らんが協力する」
なんだか不機嫌そうにそう言うお兄ちゃん。怖いと言うか、なんだか顔色が悪いように見えてしまうのはどうしてだろう…
『よし、じゃあまず楽器作りだな』
「…そっから!?」
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