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部屋にさす朝の優しい光で目を覚ます。
『やっと起きたのか』
「…やっとでもないでしょー、いつも通りだよ…」
ごしごしと目を擦ってから、体をぐーっと伸ばす
『おい、菜和』
「なーに?」
『髪、青くなってるぞ』
「あ、ほんとだ…」
横にたれる髪の毛を見てみればそれは美しく青に光っていた。あぁ、なるほど…
「これがアサギが入ってる証拠、だね」
『そうだな。本当にお前は阿呆だ』
「酷い、でもいいんだよ。これで」
昨夜私は傘、いやアカガネと約束をして、アサギに体を貸すことを許可した。
お兄ちゃんの体を使われるより私の体を使われた方が私としてはいいから
「さ、塔子さんのお手伝いしなくちゃ」
手早く身なりを整えて、私は一階へと降りていく。そのときにはもう髪の色はもとに戻っていた
***
「…おはようございます、」
眠そうにしながらお兄ちゃんは起きてきた。
「あら、おはよう。貴志くん」
「おはよー、お兄ちゃん」
「あぁ、おはよう。菜和…?…え?」
いつも通りに挨拶を返しただけだったのに、お兄ちゃんは私を見て目を見開いて固まった
「?お兄ちゃん、どうかした?」
目の前まで行って、顔を覗き込むとお兄ちゃんははっとしたような顔になり、なんでもと笑った
…いったいなんだったのだろうか
お兄ちゃんはいつかのようにぼぉーっとしながら学校に出掛けていった。
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