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『菜和、夏目が帰ってきたぞ』

「…本当に!?」


白銀の言葉に勢いよく体を起こした。

だけれど今まで熱に蝕まれていた体には自分の思い通りには動いてくれずに、私は再び布団に沈んだ

そんな私に白銀は呆れたような視線を向けてきた。


『まだ熱がひいただけなんだから大人しくしていろ。またぶり返すぞ』


阿呆が。と呟きながらも額に乗っていたタオルを冷やしてかけてくれる白銀

なんやかんやで優しいんだよな、白銀は。くすり、と笑うと再び呆れたような視線を向けられた


「お兄ちゃん、大丈夫…?」

『あぁ、呪いはとけたみたいだな。ただ、疲れてはいるみたいだ』

「そっか…」


お兄ちゃんが無事に帰ってきた。その事実が私を何よりも安心させてくれる


『だからお前はさっさと調子が戻るように寝ろ』


ぽふりと、白銀の手が私の目を隠すように置かれる。ふわふわとした毛がくすぐったい


「うん、おやすみ…」


目を閉じればすぐに意識は深く沈んでいく

そして私は夢を見た

美しい妖がお兄ちゃんを助ける夢を―…

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