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菜和が熱を出した。
高い、高い熱を。


「…、菜和」


布団に横たわりながら、荒い息を繰り返す菜和に、どうしようもない苦しさが押し寄せる

おれは、苦しむ菜和の傍についていられない


「おい、夏目行くぞ」

「…あぁ、」


あと四日。あと、四日なんだ…。逃げ切れば呪いはとける


「おやすみ、菜和」


熱くなったその頬に触れてから、おれは夜の闇に足を踏み出した


***


「…はぁ、はぁ」


ズキズキと痛む呪いの痣、同時に式を出す練習のつかれも押し寄せてくる

ぼやけていく視界の中、意識は暗い闇に沈んでいった。

…でも、痛みによりおれはすぐ目を覚ました


「―っ、うわぁ!?」


目の前にあの陰があって、急いでそこから逃げ出す

日にちがたっていたからか、動きも前よりも早くなっている


「―!あ…」


ズキン、と今までで一番強く、重い痛み

陰があの妖へと姿を変えていく


『喰いに来たぞ小僧!』

「―!!」

「夏目使え」


ヒノエから受け取った巻物を広げ、髪を抜き教わった通りに唱える


『日、通りし道より来たれ 陰、祓う者。』


…ぶぁ、という煙と共に現れたのは、小さな小鳥


『それがお前の式か!まずはそいつから喰ってやる』

「!」


襲いかかってくる陰。式を守るために覆い被さる

陰の手が伸びる寸前にチュン、と式が小さく鳴き、凄まじい光を放った


『ぎっ…!』


消えていく陰。


『ぐぅぅぅ!喰ってやる、喰ってやるぞおおおおお!!』

「!」

「夏目!!」


陰が最後の力でおれの方に手を伸ばす。

この距離、逃げられない―!

襲い来る衝撃に思わず目を閉じたとき…


―チリン、チリン


軽やかな鈴の音が響くともに、白い光が俺を包み込んだ

消えていく妖

意識が落ちる寸前で、白く柔らかな何かが揺れるのを見た気がした―

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