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燕が二葉の村に帰ったあと、なぜだか無性に菜和に会いたくなった

それは、燕の兄弟の話を聞いたからなのか、忙しくてちゃんと話せていなかったからなのか…。

多分、どちらともなのかもしれない

そんな思いからおれは菜和を探していた


「菜和ー、どこだー?菜和ー?」


だけれど、菜和がなかなか見つからない。塔子さんに聞いてみたけれど、知らないみたいだった


「…どこにいるんだよ」


どこを探しても見つからない菜和に、思わずため息がもれそうになったとき。どんっ、と上から音が聞こえた

…なんだ?

そして顔を上げた瞬間、考えるよりも先に体が動いていた


「きゃぁぁあ!?」

「菜和っ!?」


屋根の上から落ちてきたのはなんと探していた菜和。

その華奢な体が地面に叩きつけられたりしたら、大変なことになってしまう

落ちてくる菜和の姿がやけに遅くうつった

届け、届け…!


「菜和!」


―ズサァァァア


一面に舞い上がる砂煙。視界は白で埋め尽くされた

地面に擦ったらしい肘に鈍い痛みが走る

でも、痛みなんて気にならない程に腕の中の温もりにほっとした


「…お兄ちゃん?」

「…菜和、よかった」

倒れた体を起こして、腕の中の温もりを離さないように、ぎゅっと力を込めて抱き締めた。

いきなりだったそれに菜和は驚いたように肩を揺らした

でも、そんなこと気にしてなんてやらない。

心配かけられたんだから、このくらい別に許されるはずだ。

心臓が止まりそうになる感覚、それを初めて知らされたんだから


「お、お兄ちゃん、苦しい!」

「…うるさい。馬鹿菜和」

「ば…?ひどい!」


久しぶりに近くで見た菜和に、可笑しいくらいに胸があったかくなって、無意識に顔が緩んだ

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