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「ねぇ、ギン。私ってそんな風に見えてる…?」
要くんと別れたあと、隣を歩く白銀にそう問えば白銀はさらりと答えた
『あぁ。辛気臭さが溢れ出ているな。辛気臭さがうつりそうだ』
「ちょ、ギンひどい…」
『本当のことを言ったまでだ』
「…それでも、もう少し―っ」
優しい言い方があるでしょ?そう紡ごうとしていた筈だったのに、声が出なかった
それはきっと、驚きとよくわからない何かのせい
『菜和…、行くぞ』
「…うん」
いつのまにか狐の姿になっていた白銀の背中に乗って、その柔らかな体にしがみついた
すぐに風が体を包む。
それを感じながら私はたださっきのことを忘れようと強く、強く目を瞑った
仲良さそうに歩く二人。その手はしっかりと繋がれていて
お兄ちゃんの顔に浮かぶのは、優しい笑顔
お兄ちゃんの隣の妖も楽しそうに笑う
―私だけの特別だった場所はもう、私のものでは無くなっていた
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