03


部屋をいそいそと片付け、自分でも文句のつけようがないくらいに整理整頓をする。母は上機嫌で甘いケーキを冷蔵庫に入れてコーヒーを出すか、紅茶を出すか迷っていた。先ほどイタチにどちらがいいか聞いていかだイタチは「無難に紅茶でいいんじゃないか」と答えていたのが聞こえたからたぶん、紅茶が来るだろう。

勉強机に並ぶ2つの椅子。一つはサスケのもので、もう一つはリビングから持ってきた。そう、今日来る家庭教師のために。成績を上げたいのは確かだが、いざ家庭教師がくるとなると変な緊張をしてしまう。元々口数の多い方ではないし、部屋で他人と二人っきりだというのも想像しただけで息苦しい。だからイタチに教えてもらいたかったのに断られてしまった。イタチも古典は理解に苦しむらしい。それに大学二年のイタチは古典を使わない。

ピンポーン

「はい」

母が応対するのが聞こえる。ついに来たか家庭教師。玄関先での談笑がえも言えない気持ちを波立たせる。…早くしてくれ!きっと勇者を待つラスボスもこんな心情だったのだろう。期待と不安が混ざった心情がごちゃごちゃしている。耐えきれずに廊下を覗いた。まだ玄関先で母と喋っているらしく母の後ろ姿のせいで相手がよく見えない。

「気になるのか?サスケ」
「まァそれなりに」
「美人だといいな」
「そこ重要?」
「まァ、それなりに」

イタチの言葉に少し笑ったことで、リラックスできた気がする。紅茶を片手に玄関を見るイタチも興味があるのだろう。広い廊下で兄弟がお互いに壁にもたれ相手を待つというよく分からない構図となった。

「頑張れよ」

家庭教師ごときで大袈裟な気もする。やっと母に案内されて家庭教師こちらに来た。随分な長身らしく母の後ろを歩いても背の高さが伺える。

「初めまして、名字名前です」

差し出された手をそっと握ると綺麗にネイルされた爪が視界に入った。だが女の姿は煌びやかなネイルと対称にジーパンにVネックのセーターと随分ラフだ。化粧も濃くない。思っていたより清楚な感じで好感を抱いた。

「…」
「あらイタチどうしたの?」
「…兄さん?」

それよりも気にかかったのはサスケの後ろで固まるイタチの気配。手に持ったカップがカタカタと小さく振動している。名前もミコトの言葉でイタチに視線を移し、固まった。

「あなたは…」
「あっ」

小さな唇から小さな声があがる。イタチをみた名前の目が開かれていた。

「「「…」」」

サスケ、先生を部屋に入れてあげなきゃ駄目でしょう。と全く空気を読まない母が言った。

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