あまのじゃく


それからも、週に何度かローは店を訪れてくれた。私は仕事が終わると彼のいるテーブルにつき、少し話して、それから次の店に行くかそれか私の家に直行するかという日々だった。
体を重ねる日もあれば、何もせずにただ眠るだけの日もあった。彼が私をどう思っているのか、明確な言葉は無かったが、ただの性欲処理の関係ではないことは確かだった。

ある日、私の仕事が終わるのを待ってくれていたローと家に向かって歩いているときに、彼に尋ねてみた。


「ねえ、いつもショーが終わるの待たなくていいのに。わざわざ私の出番の前から店に来てくれているでしょう。お酒だってそんなに好きなわけでもないし、お金がもったいないんじゃない?」


常々疑問に思っていた。ローは私のショーが始まる少し前から店に来て、そしてすべての出番が終わるまで店で待っててくれていた。仕事が終わるだいたいの時間は把握しているだろうし、その頃に店に来てくれてもいいし、なんなら私が彼のもとへ向かっても良かった。
ローはきまりが悪そうに目を反らして、それから答えた。


「別に。お前が踊ってる姿を見るのはそれなりに時間潰しにはなる。それに…」
「それに?」
「……そうでもしないと、お前に会いに行く理由にならないだろ」


思わずふふっと吹き出してしまうと、彼は不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。
彼は見た目からは想像が出来ないが、真面目な部分がある。わざわざ店に来てくれるのは、彼なりの私に会う口実だったということだ。嬉しくて、思わず彼の腕を組んだら、そっぽをむかれたままだったが拒否されることはなく、私はそのまま体を寄せて歩いた。


「ねえ、そしたら、理由が無くても会える関係になるのはどう?」
「…まあ、悪くないな」


素直じゃないところも、彼の魅力かもしれない。その答えを、私はイエスと受け取ることとした。


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