両手いっぱいに紙袋を持った私は道の真ん中で一人ぼっちである。

ナミちゃんとロビンちゃんとたっぷりお洋服を買い物して、少し自由時間ということでそれぞれの行きたい店を各自で見て、時間を決めて落ち合わせようということだったんだけど…。
待ち合わせ場所になかなか戻れないのだ。
ゾロさんみたいな方向音痴ではないけど、地図を読んだりとか道を覚えるとか、正直苦手なのである。途方に暮れて、二人がいないかきょろきょろしながら歩いていると、前から来た人と派手にぶつかってしまった。


「わ、すいません!」
「ああ、いや………、て。エリスじゃねえか」
「あ、ゾロさん!」


ぶつかった相手はなんとゾロさんだった。こんなところで会うなんて…。ていうか、ぶつかるなんて、しかも前から歩いてきたゾロさんに気付かないなんて、私間抜けだ…。そしてその間抜けなところをゾロさんに見られるなんて…。
一気にいろいろ気持ちが入り乱れ顔が少し赤くなる。


「ナミ達と一緒だったんじゃないのか?」
「えっと…、さっきまで一緒で一旦別れて落ち合うことになってたんだけど、私待ち合わせ場所に辿りつけなくて…」
「つまり迷子ってことか」
「う、まあ…そうなるかも。ゾロさんは?」
「俺はちょうど船に戻ってるところだ」
「船に?」
「ああ」
「でも、ゾロさんが向かってた方向は、船がある海岸と真逆だよ…?」


二人の間に一瞬沈黙が流れる。ゾロさんは不思議そうに頭をかしげた。


「おかしいな、確かこっちだって人に聞いたんだが…」
「まあゾロさんなら仕方ないのかな…」
「仕方ないってなんだ。お前はどうすんだ、これから?」
「うーん。もう時間も結構過ぎてるし…。もともと待ち合わせして船に戻ろうってことだったから、直接サニー号行っちゃおうかな」


私はゾロさんと二人で歩き出した。
不幸中の幸いというか、私がここでゾロさんと一緒に行かなかったら、誰かがきっとゾロさんを探しに再び街に戻らなければならなかっただろう。

歩いている途中、一件のお店が目に入った。雑貨と少しのお洋服を打っているお店。ショーウィンドウのインテリア的にサウスブルーの人がやっているらしい。故郷を思い出して懐かしくなった。


「ここ、見ていくか」
「え?」
「見たいんだろ?時間なら余裕あるし」
「でも…」
「俺は構わないから」


ゾロさんの言葉に甘えて、私はお店に入ることにした。
中は私好みの雑貨や服がたくさん置いてあった。少しはしゃいで私が商品を手に取るのを、不思議そうにゾロさんは見ていた。


「あの」
「なんだ?」
「つまんないだろうし、わざわざ一緒にお店見なくてもいいよ?」
「…つまんなくはねえよ。お前見てるの、おもしれェから好きだし」


ゾロさんの一言で、私の中の熱が、一気に顔に集まる。
私見てるの好き、って。好きって言葉が、嬉しくて、嬉しくて。
一人でハイになるテンションを一生懸命に抑えて、私はゾロさんから顔をそらした。


「な、ならいいんだけどね!あ、これ可愛いー」


私はゾロさんから離れるようにして、洋服を手に取った。
胸の鼓動が、激しくて。ちょっと、つらい。



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