「片付けまで手伝わせて悪いな、ありがとう」
「ううん、こういうの好きだから」


サンジさんは頭に手を載せてぽんぽんと撫でてお礼を言った。
そしてルフィ君やウソップ君のために作ったデザートを持って彼らがいる甲板へ向かった。しかし、まだここにゼリーのカップが一つ残ってることに気付き、慌てて声をかける。


「サンジさん!一個置いてってるよ」
「ああ、それはエリスちゃんに頼んでいいか?」
「いいけど、一緒に持っていかないの?」


首をかしげるとサンジさんは少し意地わるく笑いながら言った。


「あいつは多分どっかで昼寝でもしてんだろ」
「…もしかしてゾロさんの?」
「ってことで、よろしくな」
「でも、ゾロさん甘いのそんなに好きじゃないはずじゃ…」
「だからって一人だけやらねぇっていうのは俺が気に食わねえ。それに、これだけ少し甘さ控えめになってるから、あいつでも食えるさ」
「ええっ…」


抗議しようにも、サンジさんは既に出て行ってしまった。
私はお盆を取り出して、ゾロさんを探しに行った。

探すと、やっぱり一人だけ離れていつものお昼寝スペースにいた。
少し躊躇してから、肩を叩いて起こしてみる。


「ゾロさんー」
「ん…、エリスか。なんだ?」
「これサンジさんが」
「?」


ゾロさんは不思議そうにゼリーが入ったカップを見ていたが、一口食べると味は気に入ったようであっという間に食べ終わってしまった。


「あと、あの、さっきはありがとう」
「さっき?」
「ほら、ルフィ君のせいで倒れそうになっちゃった時、支えてくれたから…」
「んなの、いつものことだろ。礼言われるほどじゃねーよ」


ゾロさんはそう言ってカップを私に返した。


「それより、お前ちゃんと食ってんのか?」
「え?」
「さっきお前支えたとき、全然軽かったからよ。あんなんじゃ、すぐやられちまうぞ。俺とかルフィみたいにもっと食え」
「あれは食べすぎだよ!」
「お前が食わなさすぎなんだよ」


心臓がどきん、となった。心配してくれたってだけで、嬉しい気持がこみあがってくる。

ゾロさんは、最初は怖そうに見えたけど、すっごい仲間思いで優しくて、ちょっと天然みたいなところがあって、だけどしっかりしてる時もあって…。私の憧れの存在だ。
こういう風になんでもない会話が出来る、この時間がかけがえもなく、大切だ。ルフィ君やナミちゃん達と一緒にいる時も、もちろん楽しくて大切ではあるが、それとはちょっと種類が違うのだ。

私は、ゾロさんが本格的に昼寝をするまで、そんなに長い時間ではないけど、おしゃべりができたので、その日はその後ずっと上機嫌だった。



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