城の中庭でミホークがロロノアに稽古をつけているのが見えた。どうやらこの二人は子弟関係にあるということを最近知った。
とんでもないことだな、と思ったが海軍を抜けた今の私には関係ない。しかしミホークの日中の大部分をロロノアに独占されているというのはあまり気分の良いものではなかった。
差し入れがてら二人の様子を見に中庭に降りた。


「ミホークさん!お疲れじゃないですか?これ、お茶と差し入れです!良かったらどうぞ!」
「…暫し休憩とするか」
「俺の分もあるのか?」
「あるけど貴方はまだやってていいわよ」


三人でお茶を飲みながら近くの瓦礫に腰掛ける。ロロノアはいなくても良かったのだが…そうは言っても無理に追い出すことも出来ないし私のご飯を素直に美味しいと言って食べてくれる姿はそんなに悪い気がしなかったので気にしないこととした。
今何をやっているのかと聞くと、覇気で剣を覆う修行だと言う。私はロロノアを見た。


「ええっ、まだ覇気を使えなったんだ。意外だわ」
「うるせぇ。今に出来る様になる」
「その割には時間を食っているがな」


ミホークにそう言われ苦い顔をするロロノア。あれだけ世間を賑わせた海賊達がまだ覇気を体得していないなんて、それこそ今後の成長を思うと末恐ろしかった。ここでミホークに剣を教わったら、どれほどの脅威になるだろうか。
ふと名案を思いつく。


「基本的な覇気の会得なら、私も手伝えると思うの!どうかしら、ミホークさん!」
「覇気を使えるのか?」
「当たり前でしょ、貴方と一緒にしないでよロロノア」
「お前、階級は何だった?」
「海軍時代のですか?准将でしたよ!」


2人とも驚いた様な顔をしていた。まあ無理もないだろう。実際私の階級にケチをつける存在は軍内でも多くいた。


「能力者でもない私がこの階級までいけたのは、覇気を使えたからというのが大きいですね。とは言っても、ここで頭打ちでしたけど」


私は肩を落とす。更に上の階級には覇気使いもゴロゴロいたし、能力者も多かった。私の限界はここらだろう。
そもそも見た目で舐められることも多く、相手の油断を誘いやすかったのも私が戦闘で勝利を得やすい理由となっていた。それなりに努力を重ねてきたつもりだが、同期入隊者ではピカイチの出世だったこともあり、妬みやっかみは日常茶飯事だった。


「居候分の労働に見合うだろうな。なまえにも見てもらえ」
「任せてください!」
「おいミホーク!」
「何?自分より弱そうな女には教わりたくないってわけ?」


ミホークに名前を呼ばれたことも嬉しく私は勢いよく返事をしたが、ロロノアは不服そうだった。ジロリと睨むと、バツが悪そうに目を逸らす。


「そうは言ってねぇが…」
「覇気に関しては私に比べたら赤ちゃんよ、今のロロノアは」
「確かにそうだな」


私に教わるのは心外といった雰囲気だったが、ミホークが頷いたこともあり渋々といった具合に私と稽古をすることを取り決めた。
海軍時代の努力がこうして役に立つのは悪くない気分だった。若手の育成を担っていた時期もあったし、腕の見せ所だなと私は意気込んだ。




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -