「どうですか!お口に合いますか!美味しいですか!」
「……食事の時くらい静かにできないのか」


全快した私は、看病のお礼も兼ねて皆に料理をふるまった。海軍になる前は酒場で働いていた為、料理はある程度得意である。また、ミホークに恋をしてからというもの、男は胃袋をつかむべしとの教えを祖母から伝授されており、海軍に入ってからも暇があれば料理の腕を磨いていた。その真価を今こそ発揮したのである。
我ながらなかなかおいしく作れたと思う。ミホークにあーんしようとしたが心底嫌そうな顔で断られてしまった。


「まあ、確かに美味いな」
「この島に来てから食べた食事で一番美味しいかもしれない」
「でしょでしょ!どんどん食べてね!」


ペローナとロロノアは素直に美味しいと言ってくれたので、味には問題なさそうだった。しかし、肝心のミホークが美味しいと言ってくれなければ意味がない。私はじっと彼を見つめると、やがて観念したようにミホークは肩を落とした。


「味は申し分ない」
「本当ですか!良かったあ、ミホークさんに褒めてもらうために何年も料理頑張ってきましたから!」


大本命の感想を聞き終えてようやく私は自分の分を食べ始めることにした。
二人からミホークといつから知り合いだったのかと聞かれ、つい先日自分がミホークに語ったことを同じように説明した。二人がどうしてこの島にいるのかについても聞いたが、なんとも要領を得ない話だった。
久しぶりゆっくり他人と話すことが出来た食事に、私はそこそこ楽しんでいた。それはミホークがいるからというのももちろんあるが、海軍にいた頃はとにかく早く出世したくて寝る間も食べる間も惜しんで仕事をしていたため、こうやってゆっくり誰かと話しながら食事をとるなど随分と久しぶりだった。


「ふう、食ったな」
「毎日でも食べたいくらいだ」
「本当に?毎日作るよ!ミホークさん、私食事担当でいいですか?」
「今後もここに居座るつもりか?」


料理を気に入ってくれた二人に便乗してミホークに尋ねると、相変わらず彼は苦い顔をしてそう答えた。
しかし胃袋をがっちりとつかまれた二人が私がここに残って料理することを強く推してくれて、根負けする形でミホークは最終的に首を縦に振ってくれた。


「…勝手にしろ」
「ありがとうございます!そしたら私はミホークさんの隣の部屋使っていいですか?」
「今まで寝ていた部屋をそのまま使え」


さすがに部屋のリクエストまでは聞き入れてもらえなかったが、本人から滞在許可を得られたことは、私にとって大きな一歩であった。


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