08


マルコに続いて他にも何人かクルーが倉庫部屋へとやってきた。既にのびている海賊の男と、そして腫れた跡のある私の顔を見て、みんなは口々に「大丈夫か?」と声をかけてくれた。
サッチとエースもやってきて、私が殴られたことを知ると、エースは何も悪くも無いのに「ごめん!」と謝ってきた。
どうやら、私が隠れている間に敵はほとんど倒されていたらしい。ひと段落ついたところで、私の姿と一人逃した敵がいたことにマルコが気付き、慌てて探し出してくれたのだった。
ちゃんと手当しよう、と手を差し伸べられて立ち上がろうとしたが、足に上手く力が入らない。腰が抜けたままの状態だった。私は困ってマルコを見上げると、マルコは苦笑して私をひょいと持ち上げた。


「えっ」
「ったく、仕方ねぇよい」
「マルコさん、私、重いよ!」
「お前の何処が重いんだ」


みんなの前で横抱きにされるのが恥ずかしく抗議をした。確かに立ち上がることが出来なかったが、しかしこんな風に抱かれるとは思っていなかった。
近くにいたクルー達に「どうしたんだ?」と聞かれたが、マルコが「殴られてビビって立てなくなったそうだ」と答えるとみんな納得したように私を励ましてくれた。
エースだけは、「俺が代わりに連れて行く!」とマルコの前に立ちふさがろうとしていたが、サッチに他にもやることがあるだろと止められていた。


「医務室まで我慢しろい」
「…でも」
「怪我したのは、目を離したおれのせいでもある」
「そんな、マルコさんのせいなんかじゃ」
「可愛い顔に傷つけちまって、ったく…」


言葉のあやみたいなものだと分かっているが、「可愛い顔」と言われてドキンと胸が高鳴った。私はぎゅっとマルコにしがみつく。大人しくなった私に、マルコは少し機嫌をよくしたようだった。
医務室にはあっという間についた。椅子の上にゆっくり降ろされてマルコの体が離れると、さっきまで恥ずかしかったくせになんだか寂しい気持ちになってしまった。、


「口ン中も切れてるだろ」
「あ、そういえば…」
「頬んところには、とりあえずこれで冷やしとけ」


氷嚢のようなものを渡されて、私はそれを頬に押し付けた。他にけがはないかと聞かれ、無いと答えたがよく見ると足をすりむいていたりと殴られたときに体が吹き飛んだ際についた傷が幾つかあった。


「ちょっと姿見えないうちにこんなに傷つけちまうとはなぁ」
「ごめん、なさい」
「なんでお前が謝るんだよい。傷、小さくても跡に残ることがある、ちゃんと手当するぞ」


医務室にはナースは誰もいなくて、マルコがテキパキと手当をしてくれた。私はなすがままに彼の手際を見ていた。手当が終わると、マルコは私の手を取って立ち上がらせてくれた。今度はちゃんと立つことが出来た。


「今日はもう、部屋で休んどけ」
「でも…」
「飯もおれが部屋に持ってくよい。怪我もしたし、疲れただろ」


マルコは私の手を引いて部屋まで送ってくれた。他にもやることがあるから、と彼はすぐに部屋を出て行ってしまった。私はため息を吐いてベッドの上にうずくまった。
隠れていただけではあるが、確かに緊張もしていたしベッドの上の安心感に包まれると、一気にどっと疲れを感じだした。
いつもは気にならないのに、一人の部屋はとても寂しかった。マルコが早く戻ってきたら良いのに、と思いながら布団を頭からかぶった。

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