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「まって」
「どうした?」
「……みんなに、話したいことがあるの」
「んん?なんだよ、改まって」
「ナマエ、ここじゃ危ないから、ついたらにしよう?いいよね、ふたりとも」
「あん?…まぁ、それはいいけどよ」
「…ああ」

ティファがそう言って私の右手をとって微笑んだ。それに私が頷くと、ティファはクラウドとバレットに先に行くようジェスチャーで伝える。小首をかしげた2人だったけれど、瓦礫が多く崩れやすい道ということもあって、特に何も言わずに先を歩き始めた。2人から少し距離を空けて、ティファと並んでゆっくり歩く。

「ナマエ、ちょっとだけ、話そっか」
「…うん?」
「私ね、ナマエのこと、友達だとも思ってるし、妹だとも思ってるんだ」
「妹…?」
「うん。可愛くて仕方ないもの」

そう言ってにっこり笑ったティファに、思わず目を丸くする。

「ねぇ、ナマエ。前からずっと探している人がいるって、言ってたよね」
「…うん」
「その人って…もしかしてソルジャー、それもクラスファースト…じゃない?」
「え…?」

ティファが何を言いたいのか、理解ができず首を傾げる。それにティファは、眉を下げて少し困ったように笑った。

「ちゃんと話さないといけないと思ってた。私の過去の記憶、それから、クラウドのこと。向き合わないといけないことが沢山あるの。そういう全部と、ナマエが探してる人が、無関係とは思えないんだ…」
「……?ティファ、ごめん、何がなんだか…」
「ふふ、わからなくて当然だよね。私もわからないことだらけで、今は上手く説明出来そうにないかな…。でも、ナマエと一緒なら答えを見つけられる気がするの。それから、ナマエの探している人も、ね」
「ティファ……」

ティファはティファで、ずっとひとりで大きな悩みを抱えていたのかもしれない。そんな中で優しい言葉をかけてくれて、嬉しくないわけがなかった。そんな言葉を受け取る資格は、私には無いのに。

「少しだけ、話変えるね。ナマエは、クラウドが好きなんだよね?」
「っえ…?」
「ふふ、見てたらわかるよ。私にとっては、ふたりとも同じくらい、大事な人だから」

突然、ガラリと変わった会話の内容に戸惑う。しかも、まさかティファから言われるとは思っていなかった話に、どう答えるべきか迷って、結局正直に言おうと決めた。

「……ティファの言うとおり、クラウドのこと好きなのかもしれない。──でも、忘れる」
「忘れる?どうして?」
「…この先、きっと邪魔になる感情だから」
「邪魔、かぁ…。そうかな。ナマエにはクラウドが必要で、クラウドにもナマエが必要だと思うよ」

そう言ったティファの瞳は真剣で、その奥には優しい光が灯っていた。
クラウドにも、私が必要?そんなわけない、と心の中で否定する。

「ゆっくり考えてみて。今はナマエもそれどころじゃないみたいだしね。でも、その時が来たら、ちゃんとクラウドに伝えてあげてね」
「…でも、ティファは、クラウドのこと……」

ティファだって、クラウドのことが好きなんじゃないの。そう続けようとした途端、ティファが笑ったから驚いた。

「クラウドはとっても大切な人。でも、最初にも言ったよね?そういうんじゃないの。だから、ふたりには幸せになって欲しいんだよ」
「…そう、なんだ。……うん、ありがとう、ティファ」

まだ答えは出せそうにない。けれど、ちゃんとみんなに話すべきことを話して、気持ちの整理ができたら。そうしたら、クラウドを好きという気持ちも、いつか胸を張って言えるようになるんだろうか。
ティファの微笑みを見てそんなことを思いながら、先を歩くクラウドとバレットを追ってエアリスの家へ急いだ。
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