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「っぐ…!」

途中、ヘリから降りたルードまで加わったものの、レノに素早く踏み込んだ私の斬撃と、クラウドが繰り出した凶の字の斬撃がルードへのトドメとなった。呻き声をあげて倒れ込むレノの首元に、ダガーを突き付けて身動きが取れないように抑える。クラウドも同じくルードが下手に動けないよう、バスターソードでそれを制した。

「ティファ!それ、止められない!?」
「やってみる!」

ティファに向かって叫んで、解除を試みてもらう。その間私は、レノの秘色の瞳を見つめて口を開いた。

「ねぇ、この作戦に私が関係してるって、どういうこと?」
「…いっ、てェ…。おまえを、神羅に連れ戻すためだとさ」
「…意味がわからない」
「おまえの居場所と大事なモンを奪っちまえば、怒り狂っておまえのほうから来るだろ。…まさに今みたいにな。そうなりゃ探す手間も省けるって魂胆だろうなァ、主任は」
「……っそれだけのために?そんなことのために、スラムのひとつくらい潰しても構わないって言うの!?」

あまりにも勝手すぎる言い分に頭に血が上る。ここで挑発に乗ることがこいつらの思惑通りだってことはわかっている。でも、怒らずにはいられなかった。本当にそんなことのために、ビックスやジェシー、それにアバランチの人たちを平気で傷つけたって言うの?怒りや混乱で震える手で、倒れるレノのスーツの襟を握り締める。

「一番のメインはアバランチの殲滅だぞ、と。…まァ、せいぜいおまえも七番街に逃亡した罪悪感に悩むんだな。ズタズタになって、立ち直れなくなっても、俺が可愛がってやるから安心しろよ。…なーんてな」
「…っ!……だったら、私が大人しく神羅に戻れば、作戦は中止してくれる…?」

ニヤニヤと口角をあげて悪魔のように囁くレノに、縋るようにそう聞く。

「ふはっ!…言ったろ?メインはアバランチの殲滅。おまえが今戻ったところでこればっかりはどーもなんねぇぞ、と」
「……」

目の前が真っ暗になるとは、こういうことなのかと頭の片隅で思う。レノの言う通り、今回の作戦の狙いはアバランチなんだろう。でも、もし私が6年前、七番街に身を隠していなかったら?そうしたら、こんな大きなことにならなかったんじゃないの?
ぐるぐると頭の中を駆け巡る、負の感情に押し潰されそうになる。これが私のせいなら、私はビックスにもジェシーにも、誰にも合わせる顔が無い──。

「駄目…!解除、できない!」

ふとモニターの前にいたティファが悲痛な叫びを上げた。はっとして、レノをもう一度見たけれど、レノは気を失っているのかピクリとも動かなかった。

「っおい!」

ティファの叫び声に誰しもが気を取られた一瞬の隙をついて、ルードがクラウドを撒いて走り出すのが視界の端に見えた。そしてその瞬間、追いかけようとした私たちの目の前に立ちはだかったのは大量の黒い影。モニターに向かったルードを、何故か守るように取り囲んで先に進ませてくれない。でも──。

「バカ野郎、ナマエ!無茶だ!!」
「ナマエ!退け!」

クラウドとバレットが声を張り上げるのが後ろから聞こえる。ごめん、後で怒られるから。そう心の中で謝って、黒い影が渦のようになっている中に手を伸ばす。
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