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「すごいお部屋ですね、コルネオ様」
「ほひ〜!ここはお嫁ちゃんとの愛の部屋だからね〜!」

ピンクの照明と、部屋のど真ん中に置かれた趣味の悪い天蓋付きのキングサイズのベッド。まさにそれ専用の部屋のようで、それ以外にはほぼ家具はない。はぁ、早いとこ聞き出してこんなところ出てやる。

「まずは〜、今日を記念して乾杯!」

そう言ってコルネオはベッドサイドにおあつらえ向きに置かれていたワイングラスを私に差し出した。注がれているのはシャンパンなのか、中で気泡が弾けている。コルネオのことだ。何かクスリでも仕込まれているんじゃないか、なんて受け取らずに思考を巡らせていたら、コルネオが少し眉間に皺を寄せた。

「ん〜?まさか、呑めないなんて言わないよなぁ?」
「…まさか、コルネオ様とご一緒できるなんて恐縮で、緊張してしまっただけです。でも、私、お酒は弱いので一口だけ。それに、コルネオ様とのコト…ちゃんと憶えておきたいですから」
「ほひ〜!ういの〜!可愛いのう〜!」

今はコルネオの機嫌を損ねる訳にはいかない。あえて伏し目がちに、照れた仕草でグラスを受け取ると、コルネオは興奮したように鼻息を荒くした。ここはもう腹を括るしかない、とグラスを傾け、一口だけ呑み込む。と、かなりアルコールが強く喉の奥が焼けるように熱くなった。…でも、クスリの味はしない。よかった、とほっと安堵する。

「ねぇ、コルネオ様?」
「ん〜?なんだい子猫ちゃん?」

コルネオのぶよぶよとした身体に手を伸ばし、そっと胸板を押してベッドへと押し倒す。

「ほひ〜!積極的なおなご、イイ〜!!」
「コルネオ様、私お聞きしたいことがあるんです」
「ほひ〜ほひ〜…!」
「コルネオ様?」
「……ほひ〜!!だめだ、もう我慢ならーん!!」

突然叫んだコルネオが、上に乗った私の腕を引いて回転するように私をベッドへ押し付けた。私の上でこれまで以上に鼻息を荒らげるコルネオに、さすがに少し焦りが生まれる。話は全然聞けていないけど、このままだとヤられる。こうなったら力づくで押しのけて、弱らせて吐かせた方がよさそうだ。そう思って身体に力を入れようとして、異変に気付いた。

「…えっ?身体が……」

身体が痺れて、指の1本すら満足に動かせない。まさか、さっきのシャンパンにやっぱりクスリが…?

「ほひ〜!動けない?痺れ薬が効いてきたんだね?さぁ、たっぷり可愛がってあげるからね〜」
「っや…!」

アルコールの度数が高すぎて、混ぜられたクスリの味に気付けなかったらしい。着物の帯に伸びてくるコルネオの手に、動かない身体じゃ抵抗ひとつできない。もう、ダメかも…。嫌だ、助けて。助けて…クラウド──。
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