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着いたのは、いかにもなピンクのネオンが光る蜜蜂の館。この先でクラウドに起きることを想像してにやけてしまう。

「ここは……」
「代理人のアニヤン・クーニャンに、推薦状をもらうの。そしたら、クラウドも一緒に、コルネオのところ、入れるでしょ?」
「クラウド。絶対似合うよ、女装」
「っは!?おい!」

目を見開いて焦り出すクラウドに、私が笑ってる横で淡々とエアリスが話を進める。

「ティファを助けるため、でしょ?」
「待て、」
「いい?する、しないの話はここで終わり!どうやって、の話しよう」
「あはは。腹括るしかないね、クラウド」
「勝手に…」

本当に嫌なんだろう。とうとう頭を抑えて、目を閉じてしまった。

「ほら、やるは一時の恥、やらぬは一生の恥ってね?」
「ナマエ、それなんか違う」

ちょっと可哀想になってきたからフォローを入れたつもりがエアリスに突っ込まれて、えへへと苦笑い。でもクラウド、綺麗な顔だからなー。絶対似合うとおもうんだよね、うん、やっぱ見たい。さ、行くよとクラウドの腕を引いたエアリスが、物凄く手際よく受付を済ませ、唖然とするクラウドを大きな扉の中に押し込んだ。

「エアリス、ナイス!」
「ふふ、楽しみ、だね」

ハイタッチをして、笑い合う。それにしても、マムの話だとアニヤンに気に入られれば推薦状がもらえるって話だけど、それをステージでやるってどういうことなんだろ。女装もパフォーマンス的な?というか、気に入られるって具体的には何したらいいんだろ。

「ナマエ様、エアリス様。ステージのご用意が整いました。まもなくショーの開始となります。会場へお急ぎ下さい」
「…だって、エアリス。いこいこ!」
「うん、そうだね」

受付のお兄さんの案内で、会場へと足を踏み入れる。なんというか、とにかく中は派手だ。観客の中には、マムやサムも居て、サムに関しては私たちの格好を見て目を丸くして驚いてた。ハニーガールに案内されて、ふかふかのソファに腰を下ろす。と、同時に会場の照明が落とされて、光の演出がステージを彩った。

「わ、すごーい!」
「うんうん!綺麗!」

ハニーガールとハニーボーイの一糸乱れぬ華麗な踊りに、私もエアリスも大興奮で。拍手で声援を送りながら、ステージに魅了される。中央に置かれた蕾を模したようなオブジェが開いて、中からただならぬオーラを纏った男性が登場して会場のボルテージが上がった。もしかして、あの人がアニヤンなんだろうか。そんな中ステージの前に、ハニーガールに連れられてクラウドが立たされた。

「蜜蜂の館へようこそ、クラウド。推薦状が欲しいんだって?」

どこか艶を含んだ低音ボイス。アニヤンは何か言いかけたクラウドの唇に、しなやかな動きで指を当て、それ以上言わせないようにした。なんか、指使いが艶かしい…!

「いいだろう。では、花嫁にふさわしいと、ダンスで証明してもらおうか」
「え、ダ、ダンス?」

アニヤンの言葉に見てた私が思わず反応してしまった。ダンスって、ダンス?ステージに戻り腰を回してクラウドを挑発するような踊りを見せるアニヤンに、案の定クラウドは大きく溜息をついてその場から離れようとした。
──けど、それをハニーボーイが制止して、クラウドをステージにずるずると引っ張っていく。クラウドがちらりとこちらを見て、エアリスが声援を送る。私は私で、なんか面白いものが見られそうで笑顔で頷いてみせた。めちゃくちゃ嫌な顔された。
アニヤンが煽るように、クラウドを指さし、その指を今度はゆっくりと自分の隣、ステージをさす。ようやく覚悟を決めたのか、クラウドはアニヤンが指示した位置に立った。また照明が落ち、アップテンポな音楽が鳴り始める。

「…え、うそ?」
「いいよ〜!クラウドー!」

最初は、そもそもクラウドが踊れるなんて思ってなかったから、笑ってやるつもりだったのに。なのに、クラウドはアニヤンの踊りに合わせて完璧にそれをコピーしてみせる。しかも息もぴったりで、いや…普通に格好良いんですけど。隣に座るエアリスも大絶賛。

「えー、意外…なんか悔しい…」
「ふふ、格好良くて?」
「…うん。普通に格好良い…」

本当にすごいな、なんでもできちゃうとかクラウドって何者?曲調が変わり、ダンスも激しいものに変わる。それでもしっかりアニヤンについていけてるし、むしろクラウドにアニヤンが煽られてるようにすら見える。完全にダンスに見入っている時、受付のお兄さんが突然現れて、私の横のハニーガールに何か耳打ちをした。
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