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「やっとついたね、コルネオの屋敷」
「うん、悪趣味な屋敷」
「行くぞ」

金が至る所に使われているのか、夜でも存在感がハンパない屋敷を目の前に、クラウドが迷わず大きな門扉を押し開けた。中にも金塊が積まれてあったり、コルネオの強欲さが滲み出ている。それとコルネオの手下だろうか。3人の男が訝しげにこちらを見ていて、クラウドがそいつらに近付く。

「おい、それ以上近付くな。男に用はない」

真ん中に立っている、顔立ちが整った銀髪の男が手を前に出し私たちを制した。

「人を探している」
「お前、ウォールマーケットは初めてか」
「だったらなんだ」
「屋敷は立ち入り禁止だ。特に男はな」
「じゃあ、私たちならいいの?」
「女の場合はもっと面倒だ」

心底面倒そうに吐き捨て、まったく取り合ってすらくれない目の前の男。一方で両端にいる男たちはジロジロと私とエアリスを見ている。なんか、やな感じだな、こいつら。

「でもレズリーさん、なかなか可愛いっすよ?こっちのお姉ちゃんは清楚で可愛い感じだし…」

そう言ってエアリスを眺めて、今度は私に視線を移す。

「こっちのコは、へぇ…?人形みてーに綺麗な顔だな…エロさが足りないっすけど」

エロさ?それは遠回しにスタイルのこと言ってる?エアリスと顔を見合わせて、ふたりして引き攣った笑いが出た。

「なかなか程度じゃ厳しい」
「どうにか、ならない?」
「ここがどういう場所なのか、知ってるのか」
「知らない。でも入りたいの。ダメ?」
「レズリーさん…やっぱり可愛いっすよ、どっちもスタイルはともかく」

脇の男が一言余計なことを口走って、私の眉尻がピクリと動いた。

「ねぇ、斬ってもいい?」
「わたしも、暴れていいかな?」
「……いや」

クラウド、いやってなんだ、もっとフォローするとかないのか。んでもってなんで目を逸らすの!

「…はぁ。代理人から推薦状をもらえ。そうすればオーディションに出られる。ウォールマーケットにはコルネオさんの好みを熟知した、3人の代理人がいる」
「なるほどね」
「チョコボ屋のサム、手揉み屋のマダム・マム、それから蜜蜂の館のアニヤン・クーニャン。全員ひとクセもふたクセもある連中だ。推薦状はおそらく簡単じゃあない」
「そっか。でも、うん、わかった。ありがとう」

とりあえず意外と悪いヤツじゃなさそうなレズリーと呼ばれた男に礼を言って、一旦私たちはコルネオの屋敷を後にした。
豪奢な橋の上でクラウドが立ち止まって、私とエアリスを訝しげに振り返る。

「あはは、クラウド何か言いたそうだね」
「…ナマエ、エアリス。本気なのか?」
「他に方法、ある?」
「でも───」
「話は聞かせてもらったぜ!」
「…うわ、めんどくさいの来た……」

突然聞こえたバカでかい声に振り向くと、やっぱりそこにいたのはジョニーだった。そりゃ思わず苦い顔にもなる。

「ティファはコルネオの屋敷にいるんだな?でもってコルネオの屋敷に入るには代理人の推薦状が必要ってわけだ!」
「……それが?」
「いいか!ティファを助け出すのは俺だ!」
「…いや、やめときなよジョニー」
「ナマエ、あんたとはもう終わったんだ…。悪いな…俺のことはもう忘れてくれ!よおおおし!待ってろティファあああ!」

めちゃめちゃ通行人たちに白い目で見られながら走り去っていくジョニーに、デジャヴを感じて頭痛がしてきた。

「二度もフラれたな」
「ナマエ、あの人と、付き合ってたの?」
「……やめて、笑えない…」

絶対面白がってるだろうクラウドとエアリスに、溜息をつきながら首を振った。勝手にジョニーとできてたみたいにされて、しかも過去の女みたいに言われて、こっちはいい迷惑だ。勘弁してほしい。
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