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ジョニーが連れていかれたのは多分、人目につかない裏路地だ。とにかくジョニーが余計な事を言う前に解放しないと、と先を急ぐ。先の方から聞こえてくるジョニーと兵士の口論に、ジェシー、という名前があった。あぁ、もう限界か、なんて思いながら、やっとのことでジョニー達に追い付いた私とクラウドは、目を見合わせて頷くと、正面突破を決め込んだ。

「そいつを離せ」
「!?なんだ、お前ら!仲間か?」
「なんだ?誰かいるのか?助けにきてくれたんだな!もしかしてアバラ───うぐっ」
「お、おい、貴様なにを!」

煩いからちょっともう黙っててもらおう。素早く抜いたダガーの柄を、ジョニーの鳩尾に深く食い込ませた。痛みで低く呻くジョニーに頭の中で軽く謝って、兵士ににっこり笑ってみせる。

「ただの通りすがり。わるーい奴は代わりに退治してあげたから、見逃して?」
「…くれるわけ、ないだろ」
「だよねー」

バスターソードを背中から下ろしながら呆れたようにツッコんだクラウドに、眉を下げて苦笑して、ここまで来たら仕方ないと私も両手にダガーを構えた───。

ぱんぱん、と手についた土埃を払い落として一息。よかった、弱い兵士で。

「クラウドがいると楽勝だね」
「これくらい余裕だ」
「あはは、さすが。今のうちにジョニーをどうにかしないと」
「ああ、口を封じる」
「っへ!?」

クラウドの口から飛び出した物騒な言葉に目を見開く。いや、さすがにそれはやりすぎだし、ここまで痛い目を見たジョニーが誰彼構わず言い触らすとも思えない。バスターソードに手をかけジョニーに近づくクラウドに、慌てて駆け寄って制止する。強く腕を掴んで、剣を振り下ろさせないように必死で引き留めた。

「ちょっと待って!」
「や、やめてくれ…!なんでもする!」
「…はぁ。死にたくなかったら、街を出ろ」

そう言い捨てたクラウドに、ジョニーは冷や汗を流しながらコクコクと必死に頷く。そして目隠しをしたまま器用に走り去っていってしまった。ジョニーもこれで懲りたでしょ。問題は──、こっち。

「クラウド、殺すつもりだったの?」
「情報、洩らされたらまずいんだろ」
「そうかもね、ティファたちが危なくなる。…でも。ソルジャーって、人、躊躇いもなく殺すんだっけ?」

少なくとも私が知っているソルジャーは、そんなことしないと言い切れる。命は大事にしろと、口癖のように言っていた大切な人。

「俺は、"元"ソルジャーだ」
「じゃあ今度は殺し屋にでもなる気?」
「あんたには関係ない」
「…私には、クラウドの手が誰かを傷付けるためにあるようには、思えないんだけど」
「──あんたに俺の何がわかる」
「何にも?だから、…知りたいよ」

鋭い眼光で睨まれるけれど、怯えることもなく言い返す。冷酷な瞳の奥に、ザックスと同じ、仄かな優しさが宿っているのを知っているから。
だから私は、あなたのことが、知りたい──。
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