15
「ただいま」
「もう戻ったのか?」
「うん。ビックス、また大袈裟に言ったでしょ」
ビックス達の元に戻って、終了の報告をするついでに、チクリと小言をお見舞いする。流石に戻ってくるのが早過ぎたのか、ビックスは腕を組んでおかしいな、とかブツブツ言っている。
「さすがの早業っス!」
「今回はクラウドのおかげ。私は殆ど見てただけだから」
「おい、適当なこと言うな」
「はは、安心してくれ。"なんでも屋クラウド"、しっかり宣伝しといたぞ」
確かにここに戻る道中、既になんでも屋の噂が少し広まっていた気がする。本当、ビックスもウェッジもそういうのは仕事が早いんだよなぁ。
「とにかくこれで、本格的になんでも屋開業だね?」
「ああ、助かった」
素直にお礼を言われて、にっこり笑って返す。
「クラウド、剣の調子はどうだ?」
ビックスからそう尋ねられたクラウドが、背中からバスターソードを下ろすのを、隣で見つめる。
「…いい剣だな。お前との絆を感じる」
「ああ、ずっと一緒───っう、…ぐ!」
「クラウド!?」
ずっと一緒、確かにそう言ったクラウドが突然頭を抱えて苦しみだしたから、慌てて声をかける。
「……っ、なんでもない」
すぐに頭痛は治まったのか、姿勢を戻したクラウドは剣をまた背中に納めた。その様子に、ざわざわと自分の胸が騒ぐのを覚える。どう考えても、今のクラウドの様子はおかしかった。そして、改めて思ってしまった。最初にこの人とザックスを重ねてしまったのは勘違いなんかじゃなく、やっぱり何かあるのかもしれない、と。
「ナマエ?」
「っあ、ううん。ごめん、大丈夫。じゃあ、さっそく仕事探そっか」
「…ああ」
「俺も!俺も行くっス!」
「お前はダメだ。こっちも仕事が残ってんだろ」
「ひどいっス……」
わかりやすく肩を落とすウェッジに苦笑する。一方的にクラウドに懐いてるみたいだし、一緒に行きたかったんだろうなぁ、きっと。少し可哀想になって、ウェッジに微笑みかける。
「ウェッジ、頼りにしてる。今度は一緒に、ね?」
「…がんばるっス!」
「はぁ、ウェッジの扱いはナマエが一番だな」
「あはは、いってきます」
ヒラヒラと手を振る2人に見送られて、なんでも屋の依頼を探すためにクラウドと再び街に出ることにした。