short novel

白馬の王女





 この学園には、ある伝説がある。

 学園7不思議のうちの1つ。乗馬クラブには、ペガサスがいる。そのペガサスに会えれば、その人は幸せになるという。




「そんなの冗談なのにね」

「そうそう」


 先輩方は笑っている。


「そういえば、そのペガサス伝説を信じて入ってくる子もいるよね。萌ちゃんはそうなの?」

「私は純粋に馬が好きなんです!」

「そうだよね。萌ちゃんはペガサスに助けてもらったんだもんね」



 後輩の私、萌はこの学園に入学してからもう1年経とうとしても同じ話でいじられる。

 先輩方も私が馬が好きなのと、昔犬に追いかけられていたところを馬に助けてもらったから馬に恩返しをしたくて馬術クラブに入ったことを知っている。

 翼があったような気がするけれど……。あれは気のせいだったに違いない。


 何でもペガサス伝説を目当てに入学してくる人もいるらしい。そういう訳で、学園長がこのクラブを創り、全て白い馬にしてしまった。


 そのくらい、そのペガサス伝説というのは、有名な話だった。





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