ハートの女王編 その日の夜、私は双子が寝静まってからロイドと廊下で話をした。 「言いにくかったら言わなくてもいいんだけれど……。もしかして、クローバーの国のことで何か知っていることあるの?」 「僕もわかってたら言いたいんだけれど……。なんとなく、よく知っている場所のような気がするんだ。はっきりとは言えないんだけれど」 「じゃあ、クローバーの国に行ってみてもいい?」 「僕で力になれるかはわからないけれど。クローバーの国の問題も解決しないと」 「手がかりがつかめなかったらスペードの国にも行ってみる。ハートの姫と一緒だったら、何か教えてもらえるかもしれない。明日連絡してみるわ」 「そうだね。僕はもう寝るよ。」 何だかそれ以上ロイドには何も言わない方がいい気がして、私は背中を見送った。 『私はいつでもお前を後ろから見ているよ』 ふと夢で見たハートの女王の声がした気がして振り向く。後ろには暗闇があるだけだった。 チェシュとハットも誘ってみようかな。何か知ってるかもしれない。そんなことを考えて恐怖をまぎらわした。 月明かりがさっきよりも明るく暗闇を照らしているような気がした。 prev/next |