不思議の国のありさ

ハートの女王編



「アリサ、うなされてたよ」

 目を開くと、ヨウが心配そうに声をかけてくれた。

「大丈夫?」

 サンも隣で心配そうに見てくれていた。その隣のロイドは何も聞かない。察しはついているのかもしれない。


「大丈夫。不思議な夢を見ていたの」

『どんなの?』

「もう忘れちゃった」


 久しぶりにそろって言う双子に、私は笑ってごまかす。楽しそうに見えたのかもしれない。でも言わないほうがいい。あれは間違いなく、ハートの女王。

 私が過去に不思議の国に来たときのことだ。

 ハートの女王に近づくと、こうやって少しずつ思い出してくるのかもしれない。


 双子が揃って話すことに私はようやく少し不安になった。またハートの女王の影響を受けてしまっているのかもしれない。今は、前を向くしかない。


 私達は別の馬車に乗っているハートの女王とナインさんと一緒に、ダイヤの国に向かうところだった。





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