ついのべ
進化



ずっと夢を見ているのかもしれない。脈打つ鼓動は段々弱くなり、手をかざせば皺が目立つようになってきた。時折瞼に映る一面の野原への足取りの方が確かになってゆく。遠くで誰かが呼ぶ声がする。その瞬間全てを悟る。ああこれが私という人間の最後の進化なのだ。蛹から羽化する如く虚空へ。

2021/08/14 後書き

prev | next



- ナノ -