ついのべ
白昼夢



世界を止めてくれ。勇者の服だったものを着た男は私の足をつかむ。怖かった逃げたかった叫びたかった。自分の現在さえ変えられないのにできるわけがない。だが男はそのどれも許さない。足を動かす前に男の肉と皮膚は霧散し骨も空洞に呑まれた。眼下に世界史の教科書。私の世界は教室の片隅の青空の下。

2020/11/29 後書き

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