ついのべ



私は世界を待っていた。凍てつく地面の上を歩いて、寒さに刺されながらずっと待っていた。誰も私が迎えに来ないことを知っていたから歩き出したが、それは待っているものから遠ざかっているのではないかという恐怖を孕みながらも、それでも足を止めることはできなかった。それから数年。結局私が気づいたことは、冬の太陽がどれだけ穏やかだということだけだった。

2019/12/01 後書き

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