63* 先生、座った!もう大丈夫だろう。 先生が教科書を朗読するのを聞き流しながら、でも警戒は怠らない。だって、いきなり歩き出すこともあるし。音には注意するけれど、言葉としては認識しない。 夢の世界に行ってしまう人と、現実から逃れられないことを描く人は、どちらが授業態度が悪いのだろう。横で眠りについている人を見ながら、私の永遠のテーマに問いかけながら、私はノートを出す。 進学してここに来てから、もう数年が過ぎる。いつの間にかここに立ち止れる時間は半分をきって、今では残り少なくなってしまった。 やりたいこともやるべきこともわかっているけれど、それだけだと虚しい。結局私は、どうやって生きるのかまだ決められないままだけれど、その虚しさがどこから来ているものかは見つけた。 そして、それをどうやって埋める方法をいくつか知っている。 例えば、気の合う友達と話したり、遊んだり。 でもいいつも、友達と予定が合うわけではない。次に予定が合うまで待つわけにもいかない。 しかし時間は立ち止らない。だから私も、立ち止れない。 そこで私は、今日もノートに夢を描くことにした。先生の目を盗んで、誰が気に留めることもなく。 時には広い異世界、時には日常の1欠片。太陽の下を走り回って、三日月に座って眠りにつく。風になって大地を駆け抜け、星になって絶望に瞬きかける。 そう、私は世界を無にはあげない。退屈にも時間をあげない。 先生の話を聞き流しながら、横で眠りについている人を目の端で捉えながら、私は1人誓うのだった。 そして、私は今日もノートに描く 世界は私がソウゾウする |