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 下界は『ナツヤスミ』ってやつなんだってさ。



「コドモってよく分からないよなぁ」


 雲の隙間から下を見ながら、背中に白い翼があるとは思えない言い方で彼がつぶやいた。


「何で?」


 それを同じく背中に白い翼があるものとして注意することもなく、ただ単に興味があるから聞いた私も同罪あるいは共犯かもしれない。



「ガッコウが暑いからって休みになるのに、暑い中外にわざわざ遊びに行くんだぜ?よく分からないよ」


 白として生きることになっている彼は言葉をずいぶん遠回しに使っているけれど、聞いている人ほとんどは、はっきりとその言葉の意味は分かるだろう。



「理由なんてないのかもね」


 私は彼の隣から下を見て言った。


「ただいつまでもコドモには、暑い中わざわざ遊びに出てほしいよね。それが答えなんじゃないかな?」



 彼は答えなかったけれど、今日もいつも通り、コドモはナツヤスミを走り回っている。



コドモのナツヤスミ
彼らは染められずに走る






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