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「……本気で言ってるの?」


 私が半信半疑で言っても、彼は少しも気を悪くしないみたいで笑って言った。


「もちろん」



 目の前には、何がいつ飛び出してきてもおかしくないと思えるほど深い森が広がっている。





『家が見つかったよ』



 両親はもちろん、誰もの期待を裏切って一生彼のそばにいることを望んだ私だから、彼は誰もの予想をも裏切らなければと感じたらしい。


 何も持たずに家を飛び出してきてしまったことは、今も後悔していなかった。他には何も望んでいなかったし、ある程度覚悟はできていた。



 でも、こんな森が、私たちのスタート地点になるとは思わなかった。びっくりしたけれどそれよりも……。



「どうした?」


 いきなり笑い出した私に、彼はさすがに驚いたようだ。


「何でもない」


 まさか、彼と一緒ならそれでもいいと思っているなんてとても恥ずかしくて言えない。それに言うまでもなく、彼は気づくだろう。



「いきましょう」


 何かを伝えるかわりに、私は彼の手を引いた。



他には何もいらない
だってこの手は繋がっているから






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