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彼の謎



 彼とは付き合いが長いのだが、彼にはたくさんの理解できないところがある。


 どんなに帰りが遅くても、連絡にはすぐ返信があること。
 そんなに何かで忙しいなら、着信など気づかないように思うのに。

 食の好みにうるさいのに、私の作った黒焦げの物体はおいしいと言って完食すること。
 何なら一口も食べていない私の分もさらっていく。

 いつの流行だかわからない服を着ていても平気な度の超えた倹約家のくせに、私が数年前にほしがっていたものと全く同じものをプレゼントしてくれること。



 そして何よりも理解できないのは、私は欠陥だらけの人間だということを知っているはずなのに、なぜか今、”永遠に愛する”と誓って薬指に指輪をつけていることだ。