ペルソナパロ/南+涼+ボニ


アギラオ+ダブルブースタ


 地下奥深くまで潜ってきたが、標的の反応はいまいちだった。
 手にかかる重みを、もう一度力を入れて持ち上げる。
 室内で机やら棚やらを物色する彼を一瞥して、耳に装着したインカムへと声を送った。ノイズ交じりの中、地上に居るボニトナの声が届く。

『うーん、反応は近い筈なんだけど。おかしいわね』
「何となく空気が変なのは感じるんだ」
『分かるわ。待って、もう一度、探り直す』

 ブッ、ブブブ――。
 ノイズが走る。
 風介がいくつか回復に使えそうな薬と、攻撃に使えそうな物を手にして戻ってきた。どうだ、と声を潜めて伺ってくる。

『――反応が出たわ! 登ってきてる! 扉の向こう!』

 硬質な扉が凄まじい音を立て始める。金属のがんがんとした音が室内に大きく響いた。

「装備、回復、オーケー?」
「オーケー」

 手にする得物を構える。
 刃渡りのある両手剣が、ずしりと晴矢を緊張させた。

『準備は良い?』
「オーケー」

 扉の蝶番からねじが飛ぶ。床にねじが落ち、冷たい音が鳴り響いた瞬間にそれは躍り出てきた。
 ばらばらにされたパーツを、ちぐはぐに縫い付けて出来た奇怪なぬいぐるみ。それは晴矢と風介を見下ろすほどの大きさである。
 その巨大さに晴矢は口角を引き攣らせた。風介は拳にはめたナックルを構え、相手の隙を窺い始める。
 風介が同じく耳につけたインカムに、アナライズ、と呟いた。

『了解』

 継ぎ接ぎだらけのぬいぐるみが、腕と思しき箇所を振り上げた。その拳に強い光が溜まっていく。十分に力が溜まった所で、ぬいぐるみの腕が二人目掛けて振り下ろされた。大きく横跳びで回避する。直接的なダメージは受けなかったが、衝撃波で身体が吹き飛ばされた。背中から床に叩きつけられ、痛みに息が詰まる。何とか両手剣は手離さずにいられた。剣を引き寄せ、構える。
 溜まりに溜まった埃が舞い上がり、目くらましとなる。その渦の向こう側で、風介が器用に攻撃を回避し、相手へと殴りかかるのが見えた。

『敵、刑死者タイプ。攻撃は打撃。光・闇は無効よ』
「他の弱点は」
『よく見えないわ。ただ、風介の攻撃。あんまり効いてないっぽい』

 まじかよ。晴矢は舌打ちをする。
 風介の舌打ちの声も、インカムから聞こえた。

「ぁうっ!」

 地響きの後、風介が壁に強く打ち付けられた。どうやら、まともに攻撃を喰らってしまったらしい。

『弱点が見えた! 氷結は耐性あり、火炎が弱点』

 ぬいぐるみが土埃の中から現れた。そのぬいぐるみは晴矢に視線を向けると、手を天に向かって伸ばし、彼を指し示すように腕を下ろした。
 途端、晴矢の周りに細氷が発生し始める。
 やばい、氷結攻撃だ。
 身体を包むように氷が形作り、大きく弾ける。身体が冷え切り、その場に蹲る。相手が追撃しようと、もう一度腕を天に伸ばす。
 やばい、やばい、やばい!
 再び、細氷が晴矢を中心に渦巻き始める。
 痛みが来る……。目を瞑る。しかし、ダメージはなかった。

「回避下手」
「うるせえ」

 先程手に入れた物資の中に、火炎系の戦闘アイテムがあったらしい。
 風介の手を借り、晴矢が立ち上がるとダウンした敵が体勢を立て直した。

「わたしの攻撃は効かない。良かったな、君が主役だ」
「そうみたいだな」

 ぬいぐるみが耳を劈くような蛮声を上げた。
 相手が腕を振り上げる。また氷結攻撃だ。しかし、攻撃が叩き込まれる前にはブランクがある。
 晴矢は懐からようやっと馴染み始めた物を取り出し、精神を集中させる。最高潮に高まった所で、声を張り上げた。

「ペルソナ!」




ペルソナは全員固定。
エイリアで、最強チームを作り出せ!みたいな

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