私を雷門のメンバーに加えたいと言われた時、凍てつく肌が融けていってしまう事への恐ろしさを感じた。


ジェミニストーム、イプシロン、ジェネシスも敗れ研究所も消え去り、そしてダイヤモンドダストも雷門に負けた。

ジェネシスの座はグランに奪われた。
帰る場所もなくした。
私は幼い頃からから父さんの為に全てを捧げてきた。
父さんに認められる為なら、私は何でもできると思っていた。

(父さんは私の事をどう思っていましたか?)
(ただの手駒にしかすぎませんでしたか?)
(私の存在に意味はありましたか?)
(私をグラン――ヒロトみたいに、愛してはいませんでしたか?)
(父さんが居なくなって、)
(ジェネシスも意味が無くなって、)
(バーンも行ってしまって、)
(皆何処かへ行ってしまうのか、)
(壊れてしまいそうだよ、父さん)

雷門など、所詮は弱い人間ではないか。
私たちみたいに力もないくせに。
それでも私は負けてしまったのだ。力のない人間に。

(負けてしまったら、もう私は必要なくなるのでしょう?)
(弱者は切り捨てられるのでしょう?)

それなのに、何故だろう。
円堂守は敗者の私を仲間にしたいと言ったのだ。

「勝った負けたとか、そんな結果なんてどうでもいいんだ。お前と一緒にサッカーしたいだけだよ。な、俺たちと一緒にサッカーやろうぜ」

差し伸べられた手が、幼い頃に見た父さんの手にそっくりで……、まだ私には存在する意味があるんだと嬉しくて、その手を取ったのだ。








ンガリングコールド









ブログにうpしていたものを突っ込んでたけど、これだけ忘れてたぜ。
ZUN氏曰く、「リンガリングコールド」は長引く冬=遅い春というので。
ガゼルたんにも長引いた冬に終わりがきたよ、みたいなのが書きたかった。
意味合い違うか。

タイトル「東方妖々夢」より

2009.11.17 初出
2009.12.21 修正・加筆

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