BL Novel | ナノ

花吐き病

※エロは無いです。花吐き病をやりたかった。少し自己解釈してる点があります。
短く、シリアス。

巷で噂の花吐き病を、ご存知でしょうか。雅の国ではこれが少々流行っておりまして…。私は巫女達に会う前は雅の国で過ごしていました。それ故、罹患してしまったのです。
花吐き病を治す方法は、『恋をする事』。私は恋なんて感情、誰かに抱く日が来るのかとずっと思っておりました。きっと無理だなと。私はこの病を治せないなと半ば諦めかけて居た時…彼に、再び出会ったのです。
高杉晋作。幼少の頃を師匠の元で共に過ごした男でした。私は太陽の巫女、イナバと共に彼に出会った時、成長した彼の姿を見て思いました。「彼が好きだ」と。これが所謂『恋』なのでしょう。ですが不思議だったのです。『恋』をしても花吐き病は治らなかった。それどころか、日に日に悪くなっていく一方なのです。私は巫女や護人には花吐き病の事を内緒にしておりました。イナバだけが知っています。それは、巫女を待っていたあのタイミングで、バレてしまったと言えば正しいのですが。イナバには黙っていて欲しい、とお願いしたので大丈夫でした。軽い性格ではありますが、約束を破るような子ではありませんからね。イナバは花吐き病の事を皆には内緒でこっそり調べてくれたりもしてくれました。そんな中で分かったのです。これを本当に治すためには『恋を実らせる』必要があると。『恋を実らせる』と言うことはつまり、私は晋作に想いを告げ、尚且つ晋作と付き合う必要があるのです。私はそれを聞いて無理だと悟りました。私は、知っているのです。晋作は太陽の巫女が好きだと言うこと。彼女と居る時の晋作の、あの嬉しそうな顔。晋作にとっての私は、ただの昔の同居人であり、現在旅の仲間程度である事。私は1人で泣いた。辛い。こんなことならこの想いに気付かなければ良かった。気付かないフリをして居れば良かった。晋作にこの想いを気付いて欲しいと思うと同時に、私が諦めて仕舞えば良いと言う悲しみが押し寄せる。私の想いを感じたかのように込み上げた吐き気。白い花が、掌に零れた。


俺は物陰に隠れながらそっとその光景を見ていた。晴明が花吐き病である事を知った時は、アイツは誰に恋をしているのか気になって仕方が無かった。本人に聞いてしまおうかと思った事もある。だが、俺は気づいた。晴明は…巫女が好きなんだって。巫女と居る時の晴明のあの微笑み。幼少を共に過ごした俺にでも見せない、柔らかな…そして、何処か儚げな。俺はただただ、羨ましいと思う他無かった。巫女は晴明からの愛を一心に受けていると言うのにそれに、気づかない。俺だったら、気付くのに。そして、あの忌々しい花吐き病から救ってやれるのに。きっと今アイツは、巫女にこの恋心を告げるべきかの葛藤で泣いているんだろう?泣いているお前を美しいと思う俺なんか、お前に愛される資格なんてないんだろうけど。ケホッと小さく咳き込めば、青い花弁が零れたのだった。

end

リナリア:この恋に気付いて
リンドウ:悲しんでいるあなたを愛する
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晋晴単発詰め合わせ
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