まぜまぜ。
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『ったく、なによ…あっちから告ってきたんじゃん…』

イライラ真っ最中の私は、声を掛けられていたことに気付いていなかった。

『あんな奴、こっちから願い下げだっつーの…』

「おい」

『第一に顔あり得ないし、私的にも遊んでやってる感覚だったし。うんうん』

「なぁ」

ポンというよりガシッと掴まれた肩。びくびくしながら振り向けば、

『…美形』

がありました。

「…!おい」

『なんでしょう…?道案内ですか?』

「そうだが…泣いてんぞ?」

……私が泣いてる?というか、見知らぬ人に迷惑だな、私。

『……なんかすいません。大丈夫です。えーと、どこへ行かれるんですか?』

無理矢理作った笑顔。なのに、それを見て彼はものすごく嫌な顔をした。

「確かに他人だが、泣いてる奴ほっとけるほど落ちぶれちゃいねぇんだよ」

呟きが聞こえたと思ったら、次の瞬間、ガシガシ頭を撫でられた。止まっていた涙がまた溢れてくる。

「何があったのかは知らねーけど…今は撫でられとけ」

『すびまぜん……。あり、がどう…ございます』

全く知らない人なのに。なんだかその手は安心できて、心が暖かくなった。

――あぁ、私は元カレのことちゃんと好きだったんだな。だってこんなに涙が出てくるんだもん。

そして、自分の本当の気持ちをわからしてくれたこの人に感謝。

涙がやっと止まった頃、彼は手をスッと離した。

『あの…ホントにありがとうございました。道案内を…』

「ああ、……」

言葉が止まったと思ったら。

「あ!いたいた!神田!」

『?』

「どこ行ってたんです!勝手にいなくなったと思ったら迷子になって!」

「はぁ!?迷子になんかなってねぇ!」

「迷子じゃないですか!……あれ?この方は?」

彼(神田さんというらしい)と口論していた白い髪をした青年がこっちを見た。

『あ…私、この方に道を聞かれて…』

「へぇ、なんだ道案内してもらおうとしてたんじゃないですかー」

「チッ…行くぞ」

「はいはい、では失礼しますね」

『いえ』

去っていくなか、神田さんは振り向いて、

ほんの少しだけれど、

優しい笑顔を見せてくれた。

『え、え、私…』

――これは、恋…じゃないよね?


その神田さんと再開したのは、また私が泣いているときだった。




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*10/23 08:44
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