私は恭弥さんのマンションの
近くにある公園のブランコに
座っていた。どうしても、会
いたい。今日の事を伝えなけ
ればいけないと勇気を奮う。
そういえば、彼と会うのは久
しぶりだな…。ワンピースの
裾をギュッと握りながらゆら
りとブランコを漕ぎだす。夜
風が少し火照る身体に丁度良
かった。向こうから人影が見
えた。………恭弥さん?ギィ
とブランコの音だけ響く。私
は立ち上がってその人影の方
へと歩み寄ってみた。男の人、
黒い髪、スーツ、紫色のワイ
シャツ、街灯が近くに立って
いたからすぐに分かった。


「恭弥さん…!」



怖かった…。私は駆け寄って
恭弥さんの後ろから腕にしが
みついた。びっくりしたのか、
ピクッと彼の身体が揺れる。


「……美々、」

「きょ、恭弥さん…!恭弥
さんのマンションにお弁当
置きに行ったら…中に、き
ゅ、急に不審者が入ってき
て……っ、ヒック」


恭弥さんの顔をみたせいか思
わず涙が溢れた。でも迷惑が
かかってしまう…そう思って
ゴシゴシと目元をこする。パ
ッと顔を上げるとさっきは恭
弥さんの影で見えなかったが、
誰かが傍に立っていた。――
女の、人。部屋に居た人。

「っ!その人が―――」


「恭弥!あの子よ!」


震えながら私を指差す女の
人。がっちり腕を恭弥さん
に絡めている。なに、え?
なんで恭弥さんに触れてい
るの?なんでなんでナンデ
…!ワタシガキョウヤサン
ノコイビトデショ!?手が
震えている。右手をポケッ
トにつっこみ押さえつける。
恭弥さんが私を見た。スラ
スラと言葉が発せられる。


「君は僕の彼女じゃないだろ」


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