隣に居るのが彼女、君は僕
に付きまとっているストー
カーじゃないか。淡々と恭
弥さんは私に暴言を吐く。
隣には恭弥さんのマンショ
ンに居たあの女がまだ密着
している。―触らないでよ、
あんたみたいな女は恭弥さ
んになんか似合わないんだ
から。媚びっているような
最悪な女。きっと恭弥さん
は騙されているんだわ。そ
うよ、きっとそうだわ!な
ら私が助けてあげなくちゃ
ね。だって、私が恭弥さん
の彼女だもの。右手を外に
出す。キラリと鈍く光る―
―ナイフ。公園に行く前に
買っておいたもの。護身用
ともしもの為に買っておい
たものたけど、まさかこん
なに早く使うなんて思って
も見なかったわ。ふふふ、
今から助けるわ恭弥さん。



「ひっ、恭弥…!」

「チッ…トンファーを綱吉
に修理に出してもらわなき
ゃよかったよ」


「恭弥さんから離れて…」


「………逃げるよ、」



恭弥さんはあの女の手を引
いて私に背を向けた。手を、
握っている。一気に怒りが
私を支配する。私も後を追
った。






「どうしよう恭弥…!あの
人、今入口にいたよ」

「静かにして、バレるから」



カツン―――カツン―カツン――


「!」


「恭弥さーんどこですかー?」



靴音が鳴り響く。ここは図
書館、偶然にも窓が開いて
いたのだ。奥の本棚に寄り
掛かりながら息を整えてい
ると向こうから女の声が聞
こえてきた。美々だった。
もう近くに近づいているの
か、靴音が大きくなる。



カツン――カツン――カツン――



「怖い…恭弥…っ…」


「君は僕が守るから、静かに…っ!!」


「?どうしたのきょう………や…」



本棚を見つめる恭弥の視線
を追うと2つの瞳が見えた。
ここの本棚は向こう側が本
の上から少し見える。口元
がニヤリと歪んでいた。



「見ぃつけた」



次の日の新聞に女性の遺体
が図書館で見つかったとい
う記事が載っていた。彼女
の彼氏はストーカーの被害
に合っており、そのストー
カーが犯人ではないかと警
察は捜査しているようだ。
その彼氏は行方不明になっ
ており、警察は事情聴取を
求めて彼も捜索している。
私は笑った。




Fin



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