6−1
ホープと仲直りしてから数ヶ月の月日が流れた。

私は少し悩んだが、リグディのすすめもあり、同じマンションのもっと位の

高い人用の部屋を与えられた。

というのも、セキュリティの面を考慮しての事だ。

少佐の身分で到底住んでいられるような部屋ではない事くらい承知している。

だが、推薦されては断る理由もなく住む事になりすぐに引っ越した。

前回からさらにグレードアップした部屋は広さは勿論階数も高くなった。

説明されたとうりなら窓やドアなどから

不法な侵入があればすぐに管理下に通達される。

異常があればすぐに兵士が飛んでくるというシステムらしい。

これなら安心だとは思うがまるで檻の中だとも思う

あのような出来事は今後起こらないと思うが。

それにしてもこの部屋は一人で住むには広い。

この広さならば軽く1家族、3〜5人程度は問題なく生活できそうだ。

生憎人数が増える予定も当分ないが。


まぁ遊びに来る程度ならあるか…と時計を見れば20時をまわっていた。

そろっとホープが来る頃だろう

ホープは月に数回、暇な時に泊まりに来る。

男女の肉体関係は全く無い。

それはホープが以前に私が望むまでは少しも手を出さないと宣言したからでもある。

ただ単純に泊まりに来て、ごはんを食べて、

他愛のない話をして…

お互いの時間が心を許すひと時だ。

私が楽しみにしている時間。


その日が今日。


静かな部屋に訪問者を知らせるチャイムが響く。

軽い足を玄関に向けてドアを開けばそこには少し楽しみにしていた対象があった。

―ホープ

私はホープを見た瞬間に心臓に苦しさを覚える。

病的なものではない。

苦しいような、でも苦じゃないこの疼き。

「おじゃまします」

ホープは丁寧にあいさつをして、家に上がる。

「夕食は済ませたか?」

「ええ。学校の帰りに食べてから来ました。

ライトさんはその様子だと…カルボナーラって所ですか?」

ホープがニヤっと笑ってそう告げた。

実際私が夕食として食べたものを言い当てている

「正解だ。でもなぜそんな事が…」

「香りですよ。ライトさんの薔薇の香りに混じってかすかにクリームの匂いがしたんです。

シチューは余ると一人で食べるのには苦労しますから、アレンジしたんでしょ?

それに前にあなたがパスタを

美味しそうに食べていたのを思い出して、

ここはカルボナーラではないかと…」

「すごい観察力だ。」

「ライトさんの事はいつも見てますから」

ホープの言葉に心臓が飛び跳ねる

―油断できないな…

「いつも思うんですけど、ここからの景色って本当に良いですよね…」

ホープが窓ガラスに手をついて遠くを眺める

「そうか?私は既に見慣れてしまっているんだが…

屋上からはまた違った眺めが見える。

行ってみるか?」

「はい!」

その言葉から5分後には部屋を出て屋上に向かった。

エレベーターからおりて、屋上につながる扉を開けばホープが歓声を上げた

「凄いです…」

ホープがそう言うのも無理は無い。

ここからの景色は結構良いものだ。



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