『蒼青』天也の女体化3


サングラスにマスク。そしてトレンチコートに身を包ませ電柱の影から古いアパートより出て来た妹の姿を伺った。
去年まで会う事が出来なかった妹。
最初は母さんから渡される写真でしか見た事の無かった妹。
写真の中の妹は本当に可愛く笑っていて、心臓が鷲掴みにされた。
あの日から、別の次元に居るという妹に会いたくて、神足通を覚えた。
一番大切な妹。
なのに、やっと出会えたかと思ったら、害虫がひっついていた。
どうにか駆除したいが、それをしかけると妹はとても悲しそうな顔をするので、それも出来ない。
妹が害虫を見放すのを待つしかない。
苦々しい事柄を思い出しながら、響華の姿を追っていると、住宅街の中でその元凶たる害虫と合流した。
2人は嬉しそうに笑いあい、手を繋ぎ歩き出す。
「僕はまだ響華と手も繋いだ事ないのに……っ」
忌々しい思いでいっぱいになる。
「やはり、駆除した方が良いね」
天也は殺気の籠った視線を害虫である少年へと向けた。
すると殺気を向けられた少年はピクッと肩を揺らすと、視線を左右に向ける。
「……絶対排除するよ」

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