暗い部屋の中、ベッドへ組み敷かれ、私は甘い吐息をこぼす。

そんなことが出来るのは、ここが地下室だから。そして、彼が教師だから。こんなことをするとは思われていない、真面目で、陰険な教授。そう、セブルス・スネイプ―――それが私の恋人の、名前。

秘密の…恋人の名前……。




「あ…あぁ…ッ」


こんな声を上げても、誰にも聞かれない。
皆は知らないのだ。夜な夜な、地下室で何が行われているのか。

キスが凄く上手なこととか、彼の手が、その舌がとても卑猥に動いて、私を狂わせることとか……普段のあの陰険な容姿や行動、言動からは想像もつかないコトがここで行われているだなんて、一体誰が考えるだろう。


なんてイケナイ背徳感。だから癖になる……。



あの、黒いローブの中に、整然と並んだボタンの中に、隠されている彼のすべて。それを知っているのは私だけなのだ。


「んんッ………は……ァンッ」


ほら、こんなにもいやらしいのよ。あなたのその、指先の動きは。

普段はそんなことしたことも無いという顔をして、あなたは授業をしている。髪の毛一つ乱さず、杖を振って……教師の仮面を被って。

ああ、けれど……。

夜になれば、あなたは息が上がるのも、髪の毛が乱れるのも構わず、ただ、私だけを求める。
どんな魔法薬の専門書だって、新しい薬草だって、論文だって………敵わないんでしょう?ねぇ、そう思って良いの?




二人で、吐息を合わせて……。

愛が、私達の心を、身体をシンクロさせる。その瞬間は、どんなモノだって敵いはしない。
全ての常識は覆される。思うまま……感じるままに、お互いを求めるその瞬間。


ああ………癖になるわ。酷く……癖になる…。




「何を考えていた…ッ?」

「ああんっ……なんにも……かんがえてな―――あぁ…ッ!」

「嘘を付くな……。他のことなど……考えられなくしてやる…ッ」

「あ…ぁん…ッ」




激しく、乱れていくシーツ。ベッドの軋む音が早くなっていく。

愛しくて、切なくて、苦しくて、気持ち良くて、そして……温かい。

ああ、どうか止めないで。この瞬間をいつまでも、いつまでも味わっていたい。こうやって、二人……心と身体をシンクロさせるその瞬間、あなたは私だけのモノになるのだもの。

そう、私だけのモノに―――。

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