3 願いを叶えて…
見ると辛くなるから、片付けてしまった貴方の写真。
DVDも、本も。
貴方じゃないけど、貴方に良く似た絵は…映画は、私を苦しめるから。
どんなに想っても…焦がれても再び逢えないのなら、忘れるべきなのかもしれない。
けれどそれは不可能だった。
だって、初めての人だったから。
運命の人、なんだから。
愛している、だなんて言葉ではもう言い表せないんだもの。
もう一度逢えたら……その時はきっと私から貴方を抱きしめて、キスをしよう。
ごめんねって言って、もう二度と、貴方から離れない、離れたくないって言うわ。
だから、貴方からもキスとハグを頂戴ね。
「セブルス……私の、運命の人…」
夜空に向かってポツリと呟く。ここは星が見えない。願いをかける事も、出来ない……。
「ごはんの時間よ〜」
お母さんの声が、私を現実へと引き戻す。
「はぁ〜い」
私は返事をして、携帯を見つめた。さっき、メールが来たのだ。
親友からだった。溜め息を付いて、もう一度読み返す。
From:リカ
To:severuslove@ezweb.ne.jp
Sub:行こうよ!
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最近元気ないよね。アンタ大丈夫なの?
レポートは出来てる?明日提出だから、忘れんなよ!
で、本題は違うぜ、親友よ^^
もうすぐ映画が公開になるじゃん!去年はさぁ、色々とあって観に行けなかったけど、今年は行こっ!
実はさぁ…シズノを驚かせようと思ってずーっと黙ってたんだけど、前売り券、買っちゃったんだYO(^0^)
3D料金は払ってもらわなきゃだけど、チケット、無駄にできないじゃん?だから行こうよ!!
きっと元気になるって!面白いって!アンタのスネイプ教授はアレだけど…絶対面白いからさ^^
じゃ、返事は明日大学でね(^0^)/
*****
前売り券を買ったって言われたら……もう断れないじゃんか。
リカの奴〜!絶対あれは確信犯だ!
セブルス…あなたに逢えるのなら……観に行こうか…。
私は苦笑すると首を振った。
そんな訳ない。絶対に胸が、苦しくなるだけなんだ。
けれど…。
でも…。
一目でもいい、貴方に逢えるのならば―――
「行ってみようか…な」
そんなことを呟いたら。現実がやって来た。
「早く入りなさい!ご飯冷めるでしょぉ〜?」
「はいはい!今行きます〜」
これ以上待たしたら、私の夕ご飯無くなる。絶対。
私は携帯を閉じるとベランダを後にしたのだった。
その時、遥か彼方で、流れ星が1つ流れた―――。
(H23,06,16)